石破茂です。
防災や災害対応に一元的に当たる省庁(「防災省」「危機管理省」など)の設置の必要性をここ十年以上訴えているのですが、一向に実現の兆しすら見えてきません。私が訴え続けながら実現の目途が立たないもう一つがシェルターの整備なのですが、こちらは議員連盟ができたりと少し動きが出てきています。防災省は今のところ全く動きがありませんし、残念ながら同調して下さる方もあまり見受けません。
初動体制の遅れ、劣悪な避難所の環境、災害関連死の多発等々、阪神淡路、東日本、熊本と平成になって以来幾度も大震災を経験しながら、毎回同じようなことが指摘されるのは何故なのか。
欧州有数の地震国であるイタリアにおいては、避難所に一番先に届くのはコンテナ型のトイレ、次にキッチンカー、そして簡易ベッドが数日のうちに届くのだそうです(TKB)。
簡易ベッドは基本的に家族単位の10人程度収容のテント内に設置され、エアコン完備。キッチンカーで提供される食事はワイン付きのイタリア料理のフルコース。「温かくておいしいものを食べれば元気になる。生活を立て直すためにはこれが一番大事なのだ」とは担当者の言です。プライバシーも確保されず、非衛生的な、人権無視とも言うべき劣悪な避難所生活を強いる我が国との違いに愕然とさせられます。
家族も家も生活基盤も失い、生きる希望すら失いつつある人々に対してこそ、最も手厚い支援がなされるべきという、実に当たり前のことが行われないのは何故なのか。
この体制はイギリスで、第二次大戦時のドイツのミサイル攻撃から逃れるために地下鉄に避難した多くの市民が雑魚寝状態となり、感染症やエコノミークラス症候群などの疾病に見舞われ、関連死が多発した教訓により徐々に整備されていったもののようで、欧州では発災から3日以内に簡易ベッドが整えられる体制が整備されているそうですが、日本では基本的に関東大震災時のままの状況が続いています。