新宿から小田急線の各駅停車に揺られて15分。世田谷区の豪徳寺駅にやってきました。

ここは都内で2つしか残っていない軌道線である東急世田谷線の乗換駅ですが、名前の通り「豪徳寺」というお寺の最寄り駅となっています。旅程の都合で今回こちらには乗りませんでしたが都会に残るミニ鉄道での観光も是非してみたいですね。

豪徳寺は彦根藩主で後に江戸の大老となる井伊直弼の墓所のあるお寺です。江戸初期から彦根藩井伊家の菩提寺としての役割を果たしてきました。そんな豪徳寺はいま、日本で深く定着しているある縁起物の発祥の地といわれています。

豪徳寺では「招福猫児」と呼ぶ招き猫。

それが「招き猫」。江戸初期、井伊直孝が鷹狩の際に猫の手招きに従って豪徳寺で休憩していたところ雷雨が発生して雨宿りすることができたことから井伊家はこのお寺を菩提寺と定め、多額の寄進をしたとされています。

一気に裕福な寺となったことから当時の和尚はこの猫が死ぬと手招きする猫の姿を作ったうえで招福殿を建てて崇め祀ったところ、商売繁盛、家内安全などの心願成就を成すことができたことからこれが世に広まっていたとされています。これが「招き猫」伝説の始まりです。

そんなわけで招福殿の周りには参拝者の願いを託された大小さまざまな招き猫たちがずらり。豪徳寺の招き猫は小判を持ちません。豪徳寺は寺であって商売繁盛自体を目的にしていないということ、右手を上げる猫は「縁」を招くのであって福は招かず、その縁を足掛かりにして自ら得るものだいう考えによるものだそうです。

2万体を超える招き猫たちが所狭しと並べられています。これは圧巻ですね。人々の願いは測り知れないほど多いということがここから窺い知ることができます。

この御供え用の招き猫は社務所で販売されています。私が訪ねたときは正月だったこともあり、招き猫やおみくじを買い求める客で長蛇の列ができていました。知人がここを訪ねたときは「SOLD OUT」だったそうです。買えても置き場所の確保がなかなか大変そうですね。

そんな訳でか、こんなところに置かれる猫もいたりします。

外国人の参拝者も多いです。招き猫はかわいらしいので海外の方の心もわしづかみにしてしまうようですね。この日も多くの参拝客が寺を訪ねていました。外国人まで招いてしまう招き猫、恐るべし。