今後、政策金利が0ー0.1%に上がり、長期金利の水準(これまでは1%が上限)を市場機能に任せると、国債金利も上がる。国債利払い費は23年度の7.6兆円が33年度には22.6兆円に増えるとの試算があります。
その一方で、社会保障費(年金・医療・介護)、防衛費、子育て費用が増える。それに利払い費の増加が加われば、財政はパンクする。今までのように日銀の財政ファイナンスに頼るわけにはいかない。どうするか。岸田首相は今回の日銀決定に対し、「適切だ」と語りました。そんなに簡単なことではないのです。
「30年以内に70%の確率」とされる東南海地震、首都直下型地震、富士山大噴火であったら、どうするのか。
日銀も「2%物価目標」にこだわるべきではない。「1-2%程度」という幅のある目標でいい。「2%割れ」があったとしても、政治もメディアもさわぐべきではない。言っていることとやっていることにずれがあっていい。
インフレ抑制のために2%を目標にした欧米、デフレ脱却のために2%とした日本が2%という目標を共有したのもおかしな話です。潜在成長率、人口構成(少子高齢化)、資源などの輸入依存度、貿易収支・経常収支の違いなどを無視した数値なのです。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年3月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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