公立中高一貫校に子どもを通わせている家庭

――公立中高一貫校に子どもを通わせている家庭は、世帯収入が高いといった傾向はあるのでしょうか。

「公立の中高一貫校の入試で行われる適性検査は、一般的な知識型入試ではなく、複数の教科の融合問題で、論理的に表現する力や思考力を見るなど問題の難度が高いのです。したがって、塾に通ってトレーニングしていないと太刀打ちできないのが現実です。そうなると、ある程度の経済的余裕がある家庭でなければ、子どもを公立中高一貫校に入れることは難しいといえます。

 今年、都内の公立中高一貫校は受験者が減っているのですが、その理由のひとつが、公立中高一貫校や国立大学付属の学校は入試日が同じであることです。長い間、中高一貫校対策の勉強をしてきても、受けられる学校はひとつだけで、非常にコストパフォーマンスが悪いといえます。

 先日、小石川中等教育学校の説明会で話を聴いてきましたが、受験者の8割以上が私立中学を併願しているそうです。公立中高一貫校を第一志望にしている受験生は、公立中高一貫校受験専門の塾などに通っており、万一合格しなかった場合に、地元の公立中学に入学したのでは勉強が無駄になると考えるのでしょう。

 公立中高一貫校に子どもを通わせている家庭は、平均よりも世帯収入が高く、親の学歴も高い傾向があるのは間違いありません」

 少子化が加速する一方で、家計の子ども一人当たりにかける支出は急増している。文部科学省の調査によると、学習塾費は1994 年から 2016 年の間で公立中学校では約 5.7 万円、私立高等学校では約5.3 万円増加しており、私立中学校に在学する生徒の割合は2.9%から7.2%へと上昇している。

 ここ数十年、学歴偏重の社会を是正しようとする動きは続いてきたが、それでも子どもの教育に熱心になる親は増え続けている。そのなかで、子どもを中高一貫校に入学させ、さらには難関大学に入学させたいと希望する家庭は今後も増えていくのだろう。

(文=Business Journal編集部、協力=安田理/安田教育研究所代表)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?