金融の目的は消費の時間軸上の調整であって、借りて先に消費するか、貯めて後で消費するか、この二通りの課題解決に帰着する。投資は、いうまでもなく、貯めて後で消費することだから、購買力の保存が投資の基本課題となる。このことは、年金基金の資産運用や、金融庁のいう豊かな老後生活のための資産形成を考えれば、簡単に理解できるはずである。

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そもそも、投資とは、地球経済の成長に起因する自然な利益を得ることだが、そのことは、見方を変えれば、地球経済における購買力を自然に保存することになる。このことは簡単なようでいて、実は、誰も地球人たり得ずに、特定の国の通貨に拘束されているところから、難しい問題が生じるのである。

つまり、日本の投資家にとっては、投資の目的は円という通貨の購買力を保存することになるわけだが、一方では、グローバルな視点での購買力の保存、即ち、地球経済全体の成長への参与を基礎としつつ、他方では、日本から見た日本の外の地球というインターナショナルな視点において、その基礎のうえに技術的な調整を加えることが必要になる。そして、地球における日本の位置が変動していくところに、投資の動態があるわけである。

日本経済の構造は、地球経済との関係の構造であって、当然に変化し続けているが、構造というからには、短期的に急激に変化し得るものではなく、長期的に緩やかに変化していくものである。実は、投資といえば、必ず長期投資といわれるが、真の長期投資とは、同じことの継続ではなく、日本経済の長期的な構造変化に追随することなのである。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行