悪質なハッカー被害は考えられているよりも多く、深刻であることを改心した元悪徳ハッカーが暴露している。ハッカーがシステムの回復のために100億円を要求するケースもあるという――。
■ランサムウェアの“身代金”が100億円に
かつては法律と倫理を無視して活動するハッカー「ブラックハット」として暗躍していたが、現在は悔い改めて法律の範囲内で活動する倫理的なハッカー「ホワイトハット」に転身を図った匿名の男性が2021年に米メディア「VICE」のインタビューに応じている。
現在はその専門知識を活用して重大なリスクを引き起こす可能性のあるシステムの脆弱性を特定して解決策を提供しているこの男性によれば、遭遇する最も一般的な脅威はランサムウェアであるという。
男性によればランサムウェアは今も着実に進化を続けている最も厄介なサイバー攻撃であり、ランサムウェアに感染したコンピューターは、利用者のシステムへのアクセスを制限するため、この制限を解除するために犯人による身代金が要求される。
「最新のランサムウェアは通常、システムに侵入し、すべてのデータを暗号化して人質に取るマルウェアであり、それを実行している犯行グループと接触し、データを復帰させるためのキーと引き換えに何らかの方法でお金を支払う必要があります」(元ハッカー)
こうしたサイバー攻撃に関連するリスクは今日、飛躍的に増大しているという。当初の身代金は数百ドルまたは数千ドルといったレベルであったが、今では数百万ドルの身代金を求める高度な作戦に変わっているというのだ。
「私たちが話している高額な支払いは、簡単に数千万ドルに達します」とハッカーは明らかにした。
最近のサイバー攻撃では、犯罪者は影響を受けたすべてのコンピューターを解放するキャンペーンキーの提供と引き換えに7000万ドル(約104億円)を要求したケースがあるという。そしてこのような途方もない金額でも払わざるを得ないことも少なくないのである。
医療機関のコンピューターが狙われると当然だが特に悲惨なことになる。
「人々は選択を迫られています。データの暗号化を解除するためにお金を払うべきでしょうか? それとも命を危険にさらすべきでしょうか?」(元ハッカー)
今後を見据えて、男性は潜在的なリスクについて決して楽観視してはならないが、過度に悲観的になる必要もないと語る。
「映画のように、核兵器が奪われ、我が国に対して使用されることについて、あまり心配する必要はないと思います。しかし、金融市場への大きな影響や、発電施設などへの潜在的な影響については心配する必要があると思います」(元ハッカー)
ダークウェブには依然としてさまざまな悪意のある攻撃者の拠点があり、その中には「世界が燃え尽きるのを見たい」と望む「破壊的な攻撃者」も含まれる。これらの個人はデジタル環境における恒常的な脅威であり、サイバーセキュリティ専門家による継続的な監視と対応が必要である。
サイバー犯罪の進化は、その手口がますます洗練され、より壊滅的なものになり、個人だけでなく組織全体や重要なインフラシステムにも影響を与えるようになってきている。財政上の負担は急増し、狙われているターゲットには暮らしに不可欠なサービスや重要な社会インフラも含まれている。
今年6月の「ニコニコ動画」へのサイバー攻撃が思い出されてくるが、社会のDX化が進む中においてサイバー犯罪のリスクに誰もが晒されていることは間違いない。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?