どんなに早くても、日本を出発してから30時間以上はかかる。直行便はなく、どんな行きかたをしても、ひとつふたつの国を経由してようやくたどりつく。

ボリビアとはそんなところにある。そして、『死ぬまでに見たい世界の絶景』ウユニ塩湖は、そんなボリビアという国にある。

毎年この地を訪れ写真を撮り続けて7年。現地ではさまざまな質問を受ける。

その中で、意外とみんなが知らないことがある。それはウユニ塩湖の星空を見るための条件。ウユニ塩湖では条件がよければ、湖面にまで星が映し出される絶景を見ることができるのだが、その条件を知るものは少ない。

そこで今回は、あまり知られていない、そのいくつかの条件を書いてみようと思う。

目次

  1. 1. 時間に余裕を持ったスケジュール作りを
  2. 2. 月の満ち欠けと月が出ていない時間帯
  3. 3. 雨に恵まれる
  4. 4. 水嵩と風
  5. まとめ

1. 時間に余裕を持ったスケジュール作りを

【ボリビア】ウユニ塩湖で天然のプラネタリウムのような星空を見る4つの条件
(画像=<時にはこんな曇天の日もあるけれど、行ってみなくては分からないのがウユニ塩湖>、『たびこふれ』より引用)

まず、最初にお伝えしたいのは、そんなに簡単に好条件に恵まれないということ。なにしろ相手は大自然。

前述のとおり、ウユニ塩湖では条件がいいと湖面にまで星が映し出され、まるで宇宙空間にでもいるような気になる。何度も行っているわたしでさえ、そんな夜には「うわぁ!」と声を上げる。

せっかく行くのであれば、みなさんにもそれを体験してもらいたい。いくつかの条件、そのひとつが天気。言うまでもなく、雨天や曇天では星空観賞は難しい。ただ空に広がる黒い雲を眺める、なんてこともある。

困ったことに、ベストシーズンとされるウユニ塩湖の時期は雨季で、その名のとおり雨の多い時期だということ。もっともいい時期は、もっとも天候が難しい時期だったりする。 滞在期間には自分たちが思っている以上に余裕を持つことをおすすめしたい。

2. 月の満ち欠けと月が出ていない時間帯

月の満ち欠けの周期は約29.5日といわれていて、新月から次の新月までの期間が約29.5日、その間に『新月』『三日月』『上弦の月』『満月』『下弦の月』へと変化していく。

ほとんどの人が誤解しているのは、この『新月』の日をベストだと思っているということ。確かに、新月の日にメリットはある。それは、どんな時間帯でも月の明かりの影響を受けずに星を見に行けること。

月の明かりは思っている以上に明るく、結果肉眼で見られる星の数が激減する。満天の星空を見るなら月が出ていないときに限る。それは間違いない。しかし、新月の日にしか満天の星空が見られないかといったら、そんなことはない。

新月の日はどんな時間帯でも月の明かりの影響を受けないと書いたが、この「どんな時間帯でも」というところがポイントで、逆に言えば、時間帯によって月の明かりの影響を受けずに、つまり新月の日と同じ条件で星が見られるということになる。

満月の日を除けば、月が出ている日でも月の明かりの影響を受けずに星を見ることができる。月にも太陽と同じように月の出と月の入がある。日中の青空の中に月を見つけたことがあると思う。

主に日中に月が出ていて、暗くなるころには沈み、また朝方になると昇ってくるという日もあれば、夕方には月がなかったのに深夜になって月が出てくるという日もある。つまり、月は夜間ずっと出ているわけではないということ。

この月の動きを見るのに、わたしは『STAR WALK 2』というアプリを利用している。このアプリは月の動きを追うと同時に星座の動きや名前まで教えてくれる。

これで何日の何時から何時までは月が出ていない、というのを確認してウユニ塩湖に行くようにしている。

3. 雨に恵まれる

【ボリビア】ウユニ塩湖で天然のプラネタリウムのような星空を見る4つの条件
(画像=<視界に邪魔なものが一切ない全面鏡張り>、『たびこふれ』より引用)

普通、星空を見るならできるだけ雨の少ない時期を狙いたいものだが、ここウユニ塩湖はそこがちょっとずれていて、ある一定量の雨に恵まれる必要がある。雨季がベストシーズンとされているのは、湖面に溜まる水が空を反射して、あの絶景を生み出しているからだ。

夜間もまた、湖面に星を映し出すことで、幻想的な景色を生み出している。そう、つまり雨が全然降らないのではダメなのだ。

アジア人はこの雨季の鏡張りを好むが、欧米人は真っ白な塩の大地を好むので、一概に雨季がベストシーズンとは言えないのだが、わたしたちが見たいと思っているあの景色を見るためには、雨に恵まれる必要がある。

年によって同じ雨季でも雨が多い年もあれば、まったく降らない年もあり予測不可能。こればかりは神頼みになってくる。ウユニというところは毎年水不足に悩まされていて、雨は天からの恵みだ。

4. 水嵩と風

【ボリビア】ウユニ塩湖で天然のプラネタリウムのような星空を見る4つの条件
(画像=<2022年、コロナ渦で誰もいなかった深夜のウユニ塩湖独り占め>、『たびこふれ』より引用)

天気がよくて月のない夜、そして雨にも恵まれたら最後は風。ウユニ塩湖は広大で、その面積は日本の新潟県とほぼ同じ。まとまった雨が降ると塩湖はまるで湖のようになり、場所によって水嵩が高いところと低いところが出てくる。

意外と知られていないのは、水嵩が低いところのほうが、高いところよりきれいな鏡張りが見られるということ。低ければ低いほうが好ましい。

理由は、風の影響をもろに受けるから。風が吹くと湖面が乱れてしまって鏡張りにならないのだ。無風の日は最高だが、そんな日はなかなか来ない。だからきれいな鏡張りを見るなら、できるだけ風の影響を受けにくい水嵩が低いところを選ぶとよい。

とはいえ、夜間は肉眼でそれが分からない。車の足元から聴こえてくる水が跳ねる音で、そこにどの程度水があるのかをドライバーもわたしも判断している。

まとめ

改めて、天気に恵まれることが重要なのだと分かった。天気がよくて湖面に水が広がっていて風のない日......そこに立ち会えたあなたは相当ラッキーだと思っていい。

星を見に行くのなら、新月の日でなくても月の出ていない時間帯なら新月と同じ条件で星空が見られるということを覚えておいて損はない。これを知っているのとそうでないのでは旅程の組み方も変わってくるだろう。

そして、やはり一番大事なのは余裕を持ったスケジュール作りだろうか。余談だが、標高3,670メートルのウユニでは高山病になる人が多い。無理をせず、まずは体調管理からしっかりとやってもらうのが一番大事だと思う。そのうえで天気と相談してウユニを満喫しよう

ウユニ塩湖

【ボリビア】ウユニ塩湖で天然のプラネタリウムのような星空を見る4つの条件
(画像=『たびこふれ』より引用)

【文・写真 Rio/提供元・たびこふれ

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