ちなみに、オランダの涙に見られるこの現象は、強化ガラスの製造原理と同じです。
オランダの涙が注目される理由は他にもあります。
それは、これだけ高い強度を誇る物体であるにもかかわらず、簡単に全体を粉砕できるという事実です。
尻尾を折ると全体が粉々になる
Prince Rupert’s Drop, a piece of glass that can withstand a bullet but if you snap its tail, the whole thing falls apart. https://t.co/FFFqVoYWkz pic.twitter.com/216WXK7eZ9
— Gadgetify (@Gdgtify) December 11, 2024
この動画のように、オランダの涙には弱点があります。
オランダの涙の尻尾部分を折ると、全体が粉々に砕けてしまうのです。
ではなぜ、このような現象が生じるのでしょうか。
それは、前述した「不安定な平衡状態」が関係しています。
オランダの涙は、内部で強い引張応力、表面で強い圧縮応力が働いており、オランダの涙全体を不安定な平衡状態に保っています。
そのため尻尾を折ることで、この平衡状態が崩れ、一気に巨大なエネルギーが解放されることになります。
バランスの崩壊が連鎖反応を引き起こすため、オランダの涙全体は一瞬で粉々になります。
ケンブリッジ大学の1994年の研究によると、この解放されたエネルギーはオランダの涙の中を高速で伝播し、最大6840km/hの速度で亀裂が走ると分かっています。
これまで解説してきたとおり、オランダの涙は、作成が非常に簡単でありながら、20トンプレスにも耐える頑丈な物体です。
しかも、尾を折るだけで全体を瞬時に破壊することができるという、なんとも不思議な魅力を秘めています。
オランダの涙に関する動画が多くの人の興味を引くのも納得できますね。