全身がまるで“狼男”のように毛深くなる「狼男症候群」の幼児がヨーロッパで増えているという。いったいどうしてなのか。その“犯人”としてやり玉に挙がっているのはなんと薄毛治療薬だった――。
■幼児の狼男症候群の原因は親の薄毛治療薬だった
過去1年間に、ヨーロッパ全土で全身が毛深くなる「狼男症候群(werewolf syndrome)」の幼児が10人近く報告されている。
狼男症候群は、顔、腕、その他の体の部位に長さ5cmにも及ぶ異常な量の細い毛が生える症状で、医学的には「多毛症」 として知られ、特に治療法はなく患者は単に剃毛や脱毛で対処するしかない。
スペインのナバラ薬物監視センター(Pharmacovigilance Centre of Navarra )によると、2023年4月にある男児の背中、脚、太ももに2か月にわたって毛が生えた症例において、 男児の父親が薄毛治療のために頭皮に5%のミノキシジルローションを使用していた事実が突き止められたという。
ミノキシジルとは血管拡張薬として開発された成分で、後に発毛効果があるとされ薄毛治療薬に転用されている。ミノキシジルは2%から5%の濃度の泡状または液体の形で販売されており、アマゾンやほとんどの薬局で処方箋なしで入手できる。
当局は両親がこの市販の薄毛治療薬の成分が幼児に曝露したことで狼男症候群が発症したと結論づけた。その証拠に父親が薄毛治療薬の使用を止めると、男児の症状は治まったのだ。
このスペインの事例を受けて、専門家らはヨーロッパのデータベースを調べ、欧州全土でミノキシジルに関連する毛深い赤ちゃんがさらに10人いることをあぶり出した。
いずれの場合も親が薬の服用をやめると症状は軽減した。
しかし保健当局は、この薬にさらされた幼い赤ちゃんは心臓や腎臓に損傷を受ける恐れがあると警告している。
そしてこれらの事件を受けて、ヨーロッパで販売されるミノキシジルには、乳児の多毛症のリスクに関する警告をパッケージに記載することが義務付けられることになった。薬剤を塗布した使用者は幼児との接触を避けるよう注意勧告されることになる。
もちろんこの親たちが我が子にミノキシジルを塗布するはずもないのだが、抱っこをした際などにほんのわずかでもその成分が移っただけで乳幼児を文字通り“毛むくじゃら”にしてしまうというミノキシジルの強力過ぎる効能があらためて確認できたケースともなった。幼い子供を持つ親たちには周知が求められる話題であることは間違いない。
ミノキシジルは今年初め、SNSのユーザーが「眉毛の肥料のような働き」をすると発見して話題になったことがある。週に2、3回使用すると眉毛の成長が「著しく」改善されると、一部の健康専門家が主張したのだ。
一方で他の医師は、この治療薬は誤った使用をすると逆に脱毛などの副作用を引き起こす可能性があると警告している。
NHS(国民保健サービス)は、ミノキシジルは脱毛症の治療のみを目的としており、ストレス、病気、鉄欠乏症などの他の要因によって引き起こされる脱毛症には適さないとアドバイスしている。またミノキシジルの強力な効能には副作用も懸念されてくるかもしれない。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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