トヨタGAZOOレーシングは2024年11月28日、スープラ(3.0Lモデル)の一部改良と特別仕様車 スープラ“A90 Final Edition”を発表した。特別仕様車はグローバルで300台限定での発売が予定されている。
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なお、一部改良モデルは日本、ヨーロッパ、豪州などで2025年春以降に順次発売予定となっている。“A90 Final Edition”は、ヨーロッパと日本で販売する予定で、ヨーロッパ市場は2025年春頃、日本での発売時期は現時点で未定だ。そして、今回の特別仕様車をもって現行のスープラのマグナ・シュタイヤー社(オーストリア)での生産は終了することになる。
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今回の一部改良モデでは市街地からワインディング、サーキットまでドライビングプレジャーを高めるためにシャシーを中心に改良している。
駆動系では電子制御デフの制御を改良し、アンダーステアを抑制。また、ブレーキはフロントにブレンボ社製大径ディスクを採用した。
サスペンションでは、電子制御ダンパーを熟成チューニングし、フロント・スタビライザーを強化。また前後のスタビライザーのマウント部にはアルミ材を採用するとともに、前後サスペンションのブッシュ類とリヤ・サブフレームのマウントのゴム硬度をアップしている。
ボディでは床下の補強材をより強化。その他にパワーステアリングのチューニング、前後ホイールのキャンバー角の増大などを図り、よりダイレクト感を高めている。
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エクステリアではダックテールタイプのカーボン製リヤスポイラーを採用。フロントにはホイールアーチフラップを追加し、フロントタイヤスパッツの高さを拡大することで前後の空力バランス、ダウンフォースを最適化し、接地性とハンドリング性能を向上させている。
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インテリアでは、ドライバーシートにはGRロゴ刺繍を施したアルカンターラR+本革シート表皮を採用。シフトノブのリング、ステッチ(6速マニュアルのみ)、シートベルトに赤色を採用している。
特別仕様車 スープラA90 Final Edition
特別仕様車のパワートレインは、吸気経路を改良し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。それに合わせて過給圧のアップやエンジン制御を最適化することで出力を285kW(387ps)から320kW(435ps)へ、トルクは500Nmから570Nmへ向上させ、加速性能とレスポンスをアップさせている。
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細部では、オイルパンに高G走行時の油面の偏りを防ぐバッフルプレートを追加。また出力アップに合わせ、ラジエーター冷却ファンを強化するとともにサブラジエーターを追加。リヤのデファレンシャルギアカバーの冷却フィンを大型化している。
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マフラーは、アクラポヴィッチ製チタンマフラーを採用し、迫力のあるエンジンサウンドを作り出している。
ブレーキは、フロントにブレンボ製19インチブレーキと高μブレーキパッドを採用。さらに、ディスクは前後にフローティング構造のドリルドディスクを採用している。そしてブレーキホースにはステンレスメッシュのブレーキホースを採用し、制動時のホース膨張による圧力伝達損失を押さえ、ダイレクト感のあるブレーキ性能を引き出している。
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ダンパーはGT4車両でも採用されているKW製を採用し、伸び側16段、縮み側12段の減衰力調整を可能にしたほか、前後スタビライザーを強化。
フロント・ロワアームに強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを採用。リヤサブフレームはGT4と同じアルミ・リジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感を向上。
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ボディでは、フロント・アッパーダッシュ補強材をより強化した上で、フロント床下ブレースを追加。リヤ床下ブレースの構造を強化し、室内には強化ラゲージクロスバーを採用することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上させている。
ホイールはフロントが19インチ、リヤ20インチの軽量ホイールを採用し、タイヤは10mm拡幅したハイグリップタイヤ「ミシュラン パイロットスポーツ CUP 2」を組み合わせている。
エクステリアは、トヨタGAZOOレーシング・ヨーロッパの風洞でテストを行ない空力パーツを開発。カーボン製フロントスポイラー、カーボン製フロントカナード、フロントセンターフラップを採用。さらに、GT4と同形式のスワンネック構造のカーボン製リヤウイングを装備することで前後の空力バランス、ダウンフォース、ドラッグを最適化している。
またボンネットにはカーボン製ダクトを追加。脱着式のインナーダクトを採用し、取り外し時には冷却性能向上に寄与できるようになっている。
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インテリアは、シートパッドにアルカンターラ素材を使用したレカロ製カーボン・フルバケットシート「RECARO Podium CF」を装備。運転席シートを赤色とし、スポーツ性を強調している。
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