私たちの記憶システムは、驚くべき不思議な力を持っている。「デジャヴ」という現象は、未知の状況を過去に経験したかのような錯覚を引き起こす、不気味な心理メカニズムである。誰しもが一度くらいは体験したことがあるのではないだろうか。しかしこのデジャヴには反対の現象が存在するという。一体どういったものなのだろうか。
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記憶システムへの興味深い「窓」
英セント・アンドリューズ大学の心理学上級講師アキラ・オコナー氏と、フランスのグルノーブル・アルプ大学認知神経心理学教授のクリストファー・ムーラン氏ら研究チームの研究により、デジャヴは記憶システムの興味深い側面を明らかにした。脳内の「馴染み」を検出する部位が現実と同期しなくなることで生じる現象であり、記憶システムの「事実確認」のような役割を果たしている。
さらに興味深いのは、デジャヴの正反対である「ジャメヴ」という現象である。これは、本来よく知っているはずのものが突然見知らぬものに感じられる、不思議な心理状態を指す。
研究チームは、この現象について徹底的に調査し、驚くべき発見をした。例えば、以下のような状況が挙げられる。
・慣れ親しんだ顔が突然見知らぬものに感じられる
・音楽家が馴染みの楽譜で道に迷う
・いつも通る場所が突然異質に感じられる