目撃情報と調査:湖への墜落事件とソ連への疑惑

 ほとんどのゴーストロケットは出現時と同様に謎めいた形で姿を消したが、衝突、特に水域への墜落が報告されたケースもある。これらの墜落事件は、この現象に関する大規模な調査のきっかけとなった。

 最も有名な事件は、1946年7月19日、スウェーデンのKölmjärv湖(ケルムヤルヴ湖)で発生した。目撃者たちは、灰色のミサイルのような物体が空を横切り、大きな爆発音とともに湖に衝突したと報告している。物体は水面を滑走した後、沈んでいったという。

 空軍士官カール=ゴスタ・バルトール率いるスウェーデン軍の調査官たちは、数週間かけて湖底を調査した。クレーターのようなへこみや水生植物の根こそぎ引き抜かれていたなど、何らかの撹乱の痕跡は見つかったものの、飛行物体の破片は発見されなかった。

 バルトールは興味深い理論を提示した。物体はマグネシウム合金のような高度な軽量素材で作られており、衝突時に崩壊した可能性があるというのだ。もしこれが事実なら、1940年代の技術水準をはるかに超える高度な技術が使われていたことになり、その起源に疑問が生じる。

 また、1946年の政治的に緊迫した状況下で、ソ連への疑惑の目が向けられたのは当然のことだった。

 ソ連は、悪名高いV-1およびV-2ミサイルを戦時中に開発したドイツのペーネミュンデ研究センターを管理していた。多くの人にとって、これらの目撃情報はソ連の先進兵器実験の結果であるように思われた。スウェーデン当局の報告書とレーダーデータは、物体が長距離ミサイルのプロトタイプである可能性を示唆していた。もし本当なら、これらの兵器はソ連の力を誇示し、西側諸国を不安にさせるためのテストだったのかもしれない。

 しかし、後に機密解除されたソ連の記録によると、1946年にペーネミュンデまたは同様の施設からミサイルが発射された記録はなく、この理論を裏付ける確固たる証拠はない。