とすれば北朝鮮に将来何かあった時でもロシアが必ずしも「契り」に基づき支援するかどうかはわからないということです。個人的にはアサド政権が崩壊しそうなことをロシア情報筋は確実につかんでおり、ロシアが足りない戦力を割いてまでシリア政府を支援する価値がないと判断したとみています。
こう見ると朝鮮半島は非常に不安定になりやすい要素があるとみています。
韓国は春頃の大統領選に向けた準備をするとみられていますが、与党「国民の力」から有力な大統領候補者を輩出できるとは思えません。より民意に沿った野党「共に民主党」から選出される公算が高いでしょう。そのプロセスにおいて野党候補者は尹大統領の政策の全てを否定することからスタートします。そして尹大統領の足跡の中で最大の功績の一つである日韓関係の改善について「日本寄りだ!」という声を政治利用する可能性が出てきます。私が懸念するのは韓国は国民性が同調主義にあるので半日と言い始めたら皆がすぐに「そうだ!」と言いかねないのです。
ここでもう一つの未知数としてトランプ氏の対朝鮮半島政策が不明瞭な点です。トランプ氏はロシアに軍隊を送る北朝鮮をどうしたいのか、あるいは米韓の軍事協定に基づく韓国への支援にトランプ氏は再び「もっと金を出せ!」と迫るのか、更には韓国で選出される新しい大統領はトランプ氏とどうすり合わせをするのか、すべてをもって未知数であり、現時点でトランプ氏も考えはまとまっていないと推測します。
とするとお題の一つである日韓関係の目先の行方はどうなるか、であります。世界の潮流をみるとウクライナやガザ地区での戦争、シリア問題、さらには世界各国で不安定化する政治状況から朝鮮半島を安定和平にもっていくのは容易ではないとみるのが正しい気がします。その場合、日韓関係は「仲良しになった」というお友達意識の改善ではなく、朝鮮半島の楔が日本に突き刺さらないよう防衛するという意識を持ち、韓国に橋頭保になってもらわねば困るという位置づけに変わるのではないかとみています。そういう意味では韓国の和平を日本が主導できるかがキーになるかもしれません。石破首相は「重大な関心」と述べていますが、対岸の話という鷹揚な構えではなく、日本として戦略的にどうしたいのか、明白なプランを作るべきではないかと考えています。