今、日本を含む世界で中古車市場に注目が集まっている。新車の製造で使用される半導体の供給不足によって、新車の納車までの期間が長くなっていることもあり、中古車の需要が増えている。

中古車の需要が高まれば、価格は基本的に上昇する。買い手が多いほど、モノの値段は上がるからだ。しかし、ポルシェのような高級車でも衝撃の安さで販売されていることがある。中古車の需要が高まっているいま、なぜこうしたことが起きるのか。

この記事では、ポルシェの中古車市場の現状や安さの理由について解説する。中古車を購入することによる節税効果にも触れていこう。

ポルシェの中古車の値段はどれくらい?

まずは、ポルシェの中古車がどれくらいの値段で販売されているのかを見ていこう。ポルシェの中古車にもさまざまな価格帯があるが、安いものでは次のような車がある。

2009 ポルシェ Cayman (987 II)  437万円
2004 ポルシェ 911 Carrera 4S Coupe (996 II)  577万円
2021 ポルシェ Taycan 808万円
2017 ポルシェ Panamera4  628万円
(ポルシェジャパン:ポルシェ中古車検索ロケーター調べ)

調べてみると、ポルシェのさまざまな車種で1,000万円以下のものが販売されていることが分かった。思ったより安いと感じる人も多いのではないだろうか。

年式や走行距離に注意、衝撃の安さの理由とは

上記ではポルシェジャパンの販売価格を記載したが、ポルシェの系列店ではなく、さまざまなメーカーの中古車を扱っている自動車販売店の場合、さらに低い金額になることも多い。

では、ポルシェなどの高級車でも、中古車が安くなるのはなぜだろうか。主な理由には、次のものがある。

年式

基本的に、年式が古い車は高級車でも値段が安くなりやすい。5年落ちよりも10年落ち、10年落ちよりも20年落ちの車両の方が、一般的には販売価格が安くなる。(※自動車業界では製造からの年数を「◯◯落ち」と表現する)

走行距離

走行距離が長い車は、それだけ部品などが傷むことが多く、値段が安くなりやすい。

事故車や修理歴車

過去に事故を起こした車は、「事故歴車」や「修理歴車」と表示の上、販売されている。すでに修理が行われている場合、基本的には走行能力に問題はないが、無事故の車両を好むユーザーから事故歴がある車両は避けられる傾向にあるため、値段が安くなる傾向がある。

不人気車種

高級車として人気のポルシェであっても、人気度は車種によって異なる。人気が低めの車種は需要が低いため、販売価格は低くなる傾向がある。

安さの理由が怪しいなら履歴を調べよう

少しでも価格が抑えられた車両を見つけたいという願いは、ポルシェを探している多くの人に共通していることだろう。

ただし、あまりに安すぎる中古車を購入して失敗するのは避けたい。「安物買いの銭失い」になりかねない。購入を検討する際は、販売店に入庫までの履歴を問い合わせたり整備履歴を調べたりして、価格の根拠を確認しよう。

4年落ち以上の中古車が狙い目

経営者が中古車を社用車として購入するなら、節税効果にも注目したいところだ。一度に経費として計上できる金額が大きいため、納税額を大幅に抑えることも可能になってくるからだ。

特に4年落ち以上の中古車が狙い目だ。購入費用を1年でまとめて経費計上できるからだ。ポルシェの中古車を社用車にすることを検討しているのなら、こうした知識も持って車両を選びたいところだ。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。