黒坂岳央です。

一昔、「平均思考」という言葉が流行った。統計的な平均値を意識して、それより下はだめで、上は合格といった考え方もこれに入るだろう。日本人は学生時代は偏差値、ビジネスマンになると年収や資産額などで平均思考に縛り付けられてしまいがちだ。平均以下の数値をなんとか平均値に移動させて安堵する人も多いのではないだろうか。

しかし、筆者はこの平均思考がどんどん人を貧しくさせると思っている。個人的見解を述べたい。

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平均的な人は存在しない

誰もが何らかの能力、人格、資質で優れた点、劣った点を持っているのが普通であり、そもそもの前提に「平均的な人間」はほぼ存在しない。よく聞く結婚相手に望む条件として「平均年収、平均身長、学歴などをかけ合わせるほどどんどん候補者が減っていき、”普通の人”はレアになってしまう」という話がある。1つの能力だけ見れば普通でも、複数の条件では選別が進んでもはや普通ではなくなるのだ。

そう考えると、世の中に「平均的な人」は本来いない。良くも悪くも、誰もが異常値を持っている。大事なのは得意な分野を上手に活用し、苦手な分野がなるべく表に出ないようにする工夫なのだ。たとえば筆者はチームワークが苦手なので、サラリーマンの世界では普通以下のパフォーマンスであることも多かったが、一人でできる仕事は普通以上のパフォーマンスを出せるものもある。この場合、「チームワーク、ソロプレイの両方で平均値より高い人材」を目指す必要はなく、どちらが強い世界で戦えばいいのだ。