報道によって名誉を棄損されたとして、記事を掲載した「週刊文春」の発行元・文藝春秋に対し損害賠償(請求額は約5億5000万円)と謝罪広告の掲載などを求めて22日に東京地裁に提訴したタレントの松本人志さん。25日には「FRIDAY DIGITAL」が新情報を報じたが、松本さんが飲み会を行った場所である「ザ・リッツ・カールトン大阪」のスイートルームが一泊10~14万円台にもおよぶことが一部で話題を呼んでいる。また、スイートルームでの飲み会の様子を収めた写真に写り込んだテーブル上の食事が、スナック菓子の「じゃがりこ」(カルビー)や菓子パン、おかき、6Pチーズしかなく「あまりにお粗末」であることから、「うどん」が3410円もするなどルームサービスの高額さもクローズアップされる事態になっている。外資系高級ホテルとして知られるザ・リッツ・カールトンとはどのようなホテルなのか。また、果たして一泊10~14万円台に見合う価値があるといえるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
「マンダリン オリエンタル 東京」「ザ・ペニンシュラ東京」と並び「新々御三家」の一つである「ザ・リッツ・カールトン東京」を擁するザ・リッツ・カールトン。世界的なホテルチェーン運営会社「マリオット・インターナショナル」が手がける高級ホテルブランドの一つであるザ・リッツ・カールトンの日本進出第一号が「ザ・リッツ・カールトン大阪」だ。1997年に大阪・梅田に開業し、経営主体は阪急阪神グループの阪神ホテルシステムズ。2007年には東京・六本木の「東京ミッドタウン」内に「ザ・リッツ・カールトン東京」が開業し東京進出を果たした際には大きな話題を呼んだ。現在、国内には福岡、沖縄、京都、栃木を含め計6軒を展開している。ホテル業界関係者はいう。
「いわゆるラグジュアリー系ホテルといわれるホテルのなかでも、特にラグジュアリー感が強く、重厚な内装や調度品の数々が非日常的空間を演出している。東京のリッツはその立地も影響してか、レストランやバーで政治家や芸能人などもよく見かけられる。リッツといえば『世界最高のサービス』といわれるが、実際のところ、それほど接客サービスの質が高いとは感じられない。業界的には『可もなく不可もなく』という評価。特に日頃からファストフードやファミレスのチェーン店でも丁寧な接客を受けることに慣れている日本人からみれば、『普通』というレベルだろう。スタッフが常に『おもてなし感』を前面に出して行き届いたサービスを心掛けている国内資本のホテルと比べて、外資系の高級ホテルのスタッフは客への接し方がドライなので、日本人の客のなかには突き放されたと感じる向きもいるだろう。ただ、リッツに限らず国内にある外資系高級ホテルでは外国人客のほうが多いため、それでも特に問題にはならないし、そうした接客のほうがグローバルスタンダードだ」
また、別のホテル業界関係者はいう。
「リッツ東京では45階にあり都内を一望できる『The Lobby Lounge』が人気。夜は絶景の夜景を堪能できるバーにもなり、金曜夜には満席で入店までかなり待たなければならないこともある。料金もかなり強気だが、サービスの品質は正直いまいち。今では少しは改善されただろうが、開業間もない頃に客として行った際には、スタッフ同士がおしゃべりして管理職や店内のオペレーションへの不満をこぼす声が耳に入ってくることもあった」
ちなみにこの「The Lobby Lounge」のメニューを見てみると、コーヒーの「ザ・リッツ・カールトン東京オリジナルブレンド」が2100円、「オレンジジュース」は1800円、ビールの「アサヒ スーパードライ」が2200円となっている。
高額なルームサービス
今回の報道では、松本さんが飲み会を行ったのは宿泊先であるザ・リッツ・カールトン大阪のスイートルームとされている。同ホテルのスイートは、グランドピアノなどが設置された233平方メートルの「ザ・リッツ・カールトンスイート」、御影石を使ったバスルームを備えた「ジャパニーズ スイート」のほか、「エグゼクティブスイート」「ジュニアスイート」など複数の種類がある。公式サイトによれば、ジュニアスイートは一泊7~10万円台、エグゼクティブスイートは10~14万円台となっている。
「記事を読む限り、ソファーとテーブルがあるスペースとは別に寝室があるので、エグゼクティブスイートではないかと思われる」(ホテル業界関係者)
「FRIDAY」記事では、飲み会の様子を収めた写真に写り込んだテーブル上の食事も話題になっている。確かにスナック菓子や菓子パンなど、どれも100~200円台で買えるものばかりだ。
「一昔前ではルームサービスを24時間提供しているホテルも少なくなかったが、採算が取れないので深夜の提供をやめる動きが広まっている。飲み会の時間が遅くてルームサービスがやっていなかったのでは。もしくは、単純に高額なルームサービスの料金を払いたくなかったのかもしれない」(同)
ホテルのルームサービスといえば高額というイメージが強いが、リッツ大阪も公式サイトをみると、「ハムの盛り合わせ」が4050円、「クラブサンドウィッチ 」が4850円、「刺身5種盛合わせ」が6830円、「うどん」が3410円となっている。
「リッツに1泊するのに10万円以上払う価値があるのかどうかといわれれば、人によってまちまちとしかいいようがない。非日常の贅沢感を味わいたいという人やリッツに泊まることでステータス感を得られる人は『価値がある』と感じるだろうし、富裕層にとって10~20万円くらいの出費は大した額ではない。ただ、日本人に限った話でいえば、相性や嗜好という意味で、同じくらいのお金を出すのであれば、帝国ホテルやニューオータニ、オークラといった国内系資本のホテルのほうが、しっくりくるというか、行き届いたサービスを受けられて高い満足感を得られる可能性は高いかもしれない。料金も外資系高級ホテルよりは総じて低い」
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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