謎のドライブの末に忽然と姿を消す
その後、ようやくブライスは実家に電話をかけてこれから向かうことを告げて車を走らせたのだが、日付変わった30日の午前2時になって再び実家に電話をかけ、母親に疲れたので少し休むと伝えたのである。ちなみに電話をかけた場所は家まであと1時間ほどで着く距離であった。出発する前にもう一度電話するとブライスは言ったというが、これがブライスからの最後の電話になった。
8月30日の午前5時前後に通りかかった人物によって、キャスティーク湖の堤防に転落し大破したブライスの車が発見された。
車の中にブライスの携帯電話、財布、ノートパソコン、衣服が見つかったが、辺りに彼の姿はなく、血痕など負傷した形跡もなかった。
近くに設置されていた監視カメラの映像では、午前2時15分に走り去るブライスの車と、午前4時29分に戻ってきた同じ車をとらえていた。つまりブライスは車を停めて休んではいなかったのだ。そして戻ってきて少しして車は道路から湖の堤防へ転落したことになる。
タイヤ痕のパターンから車はブレーキをかけずにかなりの速度で堤防へ突っ込んでいたことがわかった。何らかの手段で無人の車を走らせて転落させたのだろうか。
航空機とダイバーが参加した大規模な捜索が開始され、人間の遺体や人骨が発見されたのだが、いずれもブライスのものではなかった。また付近で怪しい人物を目撃したという情報が寄せられたり、監視カメラに身元不明の人物が映っていたりもしていたのだが、それがブライスである可能性はきわめて低いと言わざるを得なかった。
ブライスの行方についての手がかりや証拠は一切得られず、彼に何が起こったのか、捜査官は今も完全に困惑している。
当然考えられる仮定の1つは、彼が過去をすべて捨てて新しい生活を始めるために意図的に失踪した可能性だが、友人や家族はこれに異議を唱えている。またアルコールと薬物の影響や、誘拐されたり事件に巻き込まれた可能性もあるが、いずれにしても憶測の域を出ず証拠は何もない。
捜査官は、彼に起こったことは実家に戻った彼が母親に話したかったことと関連している可能性が最も高いと考えている。新学期がはじまったばかりのタイミングでブライスは母親に何を話そうとしていたのか。
多くの謎に包まれ、その1つすら解明されていない「ブライス・ラスピサ失踪事件」は日を追うごとに決して解決することのない未解決事件に近づいているようだ。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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