ミレイ大統領は大統領選挙戦中から脱中国とロシアを表明し、米国とイスラエルとの関係を強化することを明白にしていた。そしてミレイ氏が大統領になると、バイデン大統領は早速アルゼンチンとの関係復活の手を打った。米国から高官をブエノスアイレスに送り、今年2月にはブリンケン国務長官が訪問してミレイ大統領と会談をもった。同様に、トランプ政権で国務長官になるキューバ移民2世のルビオ氏もブエノスアイレスを訪問してミレイ大統領とスペイン語で会談した。
ミレイ大統領は米国次期大統領としてトランプ氏に懸けていたミレイ大統領は次期大統領はトランプ氏が復帰するということに懸けて、2月25日にワシントンで開催された保守政治行動会議(CPAC)に出席した。が、その前日にミレイ大統領はトランプ氏をメリーランドに訪ね会談をもった。これが両氏の初めての顔合わせであった。当初、ミレイ大統領の側近らの間ではトランプ氏と会談を持つことを避けるように勧めていた。彼が大統領に当選しないことを懸念してであった。しかし、ミレイ氏はトランプ氏の勝利を確信していたようだ。
この時点からトランプ氏は大統領になった暁には南米における戦略外交の軸をアルゼンチンに置くと決めたのであった。米国はこれまでブラジルとメキシコがラテンアメリカ諸国の中で最も重要度を置いて来た。しかし、ブラジルのルラ大統領もメキシコのシェインバウム新大統領もトランプ氏にとってはイデオロギーを別にする人物である。
またミレイ大統領との関係を深める裏付けとしてイーロン・マスク氏がいる。マスク氏はアルゼンチンにテスラの工場進出に強い関心を示している。その要因としてあるのは、アルゼンチンはEVのバッテリーに必要なリチウムの主要産出国のひとつだからである。そんな関係もあって両者はこれまで3度会っている。
トランプ氏が来年1月に大統領に就任すると、IMFからの負債についてもトランプ氏がIMFに圧力をかけてアルゼンチンに借款の追加枠を設けてくれることを望んでいる。実際、マクリ氏が大統領だった時に、当時の大統領だったトランプ氏の圧力があってIMFから440億ドルという融資枠を手に入れた。
ミレイ大統領の次の狙いはブラジルでボルソナロ氏が大統領として復活すること