DAZN 写真:Getty Images

 2025年6月15日にアメリカで開幕するFIFAクラブワールドカップ2025(CWC)の放送権をめぐり、国際サッカー連盟(FIFA)はついにDAZNをパートナーに選んだ。世界6大陸から32チームが参加するこの大会の独占放送権は10億ドル(約1,497億8,962万円)規模と報じられている。

 2025年6月15日から7月13日にかけてアメリカで開催される全63試合を無料で配信するとされているが、この契約の背景にはサウジアラビア資金の関与が指摘され、サウジアラビア公共投資基金(PIF)がDAZNの10%株式を約10億ドルで取得する交渉を進めていると報じられている。取引は正式に確認されていないが、業界関係者は関与の可能性を指摘しており、契約額が「見栄えのために」誇張されているとの見方もあるようだ。

 FIFAは当初、Apple社との契約を模索していたが交渉は決裂。Apple社は複数回の大会を対象にする契約を望んでいたが、FIFAが提示した2025年CWC大会単体で40億ドル(約5,991億5,848万)という要求額が高すぎると判断したため、合意には至らなかったとのことだ。その後の放送業界の指摘によれば、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長がサウジアラビアの関係者に頼り、DAZNへの投資を通じて大会を成立させようとしたとする見方が示されている。

 DAZNはこれまで「スポーツ版Netflix」を目指してきたが、収益性の高い権利を獲得することには苦戦しているとのことだ。同社は欧州の主要リーグや大会の権利を保持している一方で、近年ではサウジプロリーグなどの中東コンテンツを拡大している。今回のCWCの放送権契約はDAZNにとって成長の足掛かりとみられているが、大会そのものの関心が低調である点は課題といわれている。