反対運動を行う住民の主張の根拠

 タワマンを建てる側としては法令に則って建てるため、反対運動をする側としては、法的根拠を盾にするわけではないということか。

「当然、法令ですべてを包含できるわけではないので、微妙なラインや住民の感情的な問題もあります。法的に問題がなくても、マンションが建つことで周辺住民にとってマイナスになることはあるので、それを主張することはできます。それにまったく向き合わないとなれば、事業者としての道義的問題が発生します。かといって、『建ててほしくない』という要望があったとしても、事業者側にも建てる理由があるので、なるべく周辺住民の理解を得ながら調整することは、どの物件でも必ず行っています」

 住民としては、自宅の目の前にタワマンが建ってしまうのは“運が悪い”とあきらめるしかないのだろうか。あるいは、“タワマンが建ちそうな場所”はある程度の予測をすることが可能なのだろうか。

「湾岸のタワマンが建っているエリアを想像していただけばわかりますが、タワマンが建てられる場所であれば、その近くにさらなるタワマンが建つ可能性は十分にあります。また、さらに詳しく知りたい場合は、それぞれの行政区が出している都市計画図を見てもらえば、タワマンが建つエリアは予想ができるかと思います。仮に自分が買ったタワマンの目の前にタワマンが建つことを阻止するのは不可能です」

 タワマンを購入する人にしてみれば、周辺環境や眺望などに価値を見いだしていたはずだが、それでも自宅周辺に建物が建つことを阻止する権利はないというわけである。確かに、客観的にみれば、あるマンションは建てていいが、その近くに同じようなマンションを建ててはいけないとするのは、筋が通らないようにも思える。自宅近くに大規模な開発が行われそうな土地がある場合は、要注意なのかもしれない。

(文=Business Journal編集部、協力=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?