建設機械大手のコマツは12月1日より、3Dマシンガイダンスを標準搭載した新世代の油圧ショベルPC200i-12を発売します。
発売に先駆け、11月27日に千葉・幕張メッセにて発表会が開催されました。発表会ではコマツ執行役員の方々によるプレゼンテーションのほか、PC200i-12の実機も登場。実際のコックピットを体験することもできました。
■ 人手不足、災害の激甚化、インフラの老朽化。日本の建設業界が抱える大きな3つの課題
発表会ではPC200i-12の発表の前に、常務執行役員・建機マーケティング本部長の西浦泰司氏が登壇。西浦氏によると、近年の日本の建設業界は大きく3つの課題を抱えているとのことです。
1つ目は労働力不足と高齢化。日本の建設業就業者のうち55歳以上が約36%を占め、29歳以下は約12%しかいません。
また2024年に入って時間外労働の上限規制が開始されたことも、労働力不足の深刻化を加速させており、生産性の向上や働き方改革が急務となっています。
2つ目は自然災害の激甚化・頻発化。日本を長年悩ませている地震や台風は、近年の気候変動により、頻度の増加や規模の拡大がみられます。
迅速な動きが求められる一方で、人的・時間的リソースも多く割かなければならない災害復旧対応。労働力不足が叫ばれる中でいかに効率化していくかが課題となっているようです。
3つ目はインフラの老朽化。現在の日本のインフラの多くは高度経済成長期以降に整備されたものです。メンテナンスが必要な施設は加速度的に増加していますが、人手不足により対応が追いついていません。
不具合が軽微なうちに対応する予防保全型のメンテナンスへの転換や、維持管理の効率化が必要になっています。
これら3つの課題を解決するための鍵となってくるのが3D施工。これは建設プロセス全体を3Dデータでつなぐ新しい建設手法です。
■ 課題解決の鍵となる3D施工は普及進まず……費用の高さや準備の手間がネックに
西浦氏が建設業界の課題をプレゼンした後、続いて登壇したのは執行役員・スマートコンストラクション推進本部長の四家千佳史氏。
コマツは2015年2月から、 業界の先陣を切って、3Dデータで現場をつなぐ「スマートコンストラクション」を開始。「安全で、生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場」の実現を目指して取り組んでいます。
四家氏によると、3D施工は作業の効率化と建設現場全体の可視化によって、最適な施工計画を立案できる一方、費用の高さや準備の手間などの課題もあり、地方自治体の工事や中小規模の工事においては普及が進んでいないのが現状。
しかしながら建設業が直面する課題は深刻化の一途を辿っています。課題は深刻化、しかし解決のためのハードルは高い。そんななかでコマツが発表するのが、新世代の油圧ショベルPC200i-12です。