近年、話題になる「若者のパソコン離れ」。スマートフォンの普及により、「わざわざ自宅でパソコンを所有する必要がない」という若者が増えているという指摘です。果たして、若者のパソコン所有率はどれくらいなのでしょうか。

日本は「10代」のパソコン所有率が低い

「若者はパソコンを持っていない」のは本当? Z世代のパソコン所有率はどれくらい?
(画像=(画像は「photoAC」より),『オトナライフ』より 引用)

総務省が2024年8月に発表した「通信利用動向調査」によると、2023年のパソコンの世帯単位の保有状況は全体で65.3%だったのに対し、20代では65.7%と平均を上回っていることが分かります。

一方、日本インフォメーションが実施したZ世代の情報収集・SNS利用についての調査によると、Z世代のパソコン所有率は27.8%。先の「通信利用動向調査」の20代のパソコン保有状況とは大きな差があります。

調査によって若者のパソコン所有率に大きな差が出る理由は、調査対象を「20代の世帯主」とするか、「Z世代」とするかの違いがあると言えるでしょう。そもそもZ世代は、1996~2010年生まれの13~27歳(2024年現在)です。

つまり『20代では6割越えの世帯がパソコンを所有している』ものの、『10代のパソコン所有率は極めて低い』と考えられます。そして「Z世代」全体で集計をすると所有率が3割を切るとみられます。

子どもの「5割」が校外でパソコンを利用していない 経済協力開発機構(OECD)が行った15歳の学習到達度調査(PISA)によると、学校以外でパソコンやタブレットを毎日使う日本の子どもは4割にとどまるそう。

日本では「GIGAスクール構想」などを契機に「1人1台端末」の実現に向け、小中学生を対象としたパソコンまたはタブレットの導入が大きく進みました。子どもたちへの端末そのものの普及は従来と比べ、かなり進んでいます。

しかし、『配布されたタブレットの持ち帰りが禁止されている』、『自宅にはパソコンがない、もしくは親に使用を禁止されている』といった子どもたちも少なくないとみられ、パソコンやタブレットの普及が進んでも「校外でもパソコンを使う」という環境はなかなか実現していないとみられます。

では子どもたちは「パソコン」ではなく、何を情報端末として利用しているのでしょうか?結論から言えば「スマホ」です。

スマホが9割普及したら「パソコンは不要」?

「若者はパソコンを持っていない」のは本当? Z世代のパソコン所有率はどれくらい?
(画像=(画像は「photoAC」より),『オトナライフ』より 引用)

先ほども触れた日本インフォメーションのZ世代の情報収集・SNS利用についての調査によると、Z世代のスマホ所有率は86.8%。約9割がスマホを持っているということになります。パソコンの所有率が27.8%であることを考えると、非常に高い数字と言えるでしょう。10代にとっては、9割が所有しているスマホの方が身近であることは間違いありません。

Z世代のうち、特に10代にとってパソコンは「学校の授業で触るもの」もしくは「親の許可を得て、親のパソコンを短時間だけ使わせてもらうもの」にとどまっている可能性があるといえます。また、20代になると所持率が上がる理由は大学の授業のレポートを作るのに、ノートパソコンが必要であるからといった理由だと考えられるでしょう。

スマホやタブレットではパソコンに対して性能が不足する? 「デジタルネイティブ世代」に対して、その親の世代は「パソコンスキルの向上」、具体的にはプログラミングスキルの向上などを期待しがちです。また、せっかく情報端末を持たせているにも関わらず「性能が十分ではないのでは」「スマホやタブレットを触るだけでは、十分なIT知識も得られないのでは」と疑問に思う方も多いでしょう。

実際のところは、近年のモバイル端末のチップ性能の発展には、目覚ましいものがあります。たとえばApple A18 Proと、内蔵GPU付きCPU(APU)のロングセラーであるRyzen 5 5600GとRyzen 7 5700Gのベンチマークスコアを比較すると、結果は以下の通りです。

「若者はパソコンを持っていない」のは本当? Z世代のパソコン所有率はどれくらい?
(画像=(画像は「PassMark Software」より引用),『オトナライフ』より 引用)

・Ryzen 5 5600G:19878
・Ryzen 7 5700G:24555
・Apple A18 Pro:12896

Apple A18 Proはあと一歩で、デスクトップ向けAPUである「Ryzen 5 5600G」に迫る性能。解像度を落とせばリッチなPCゲームでも「そこそこ遊べる」レベルです。

つまりモバイル端末が「デスクトップパソコン」に対して性能的に劣るとは、一概に言えなくなりつつあります。日常的な用途の範疇で言えば、パソコンではなくスマホやタブレットを中心に触るようになることはごく自然でもありますし「何故、持ち運びがめんどくさいパソコンを使う必要があるのか」と、子どもたちからすれば感じるでしょう。

「若者はパソコンを持っていないし、パソコンスキルが低い」「デジタルネイティブ世代と言われるが、実際は若者はITに詳しくない」といった点を問題視する場合、本当に問題なのは「若者がパソコンを触らない」ことではなく「スマホが中心となった社会なのに、IT知識の学習はパソコンが前提である」ことなのかもしれません。

文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ

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