この世は仮想現実であり我々はあらかじめ設定された登場人物の1人なのか――。ある物理学者はこの世はコンピューターシミュレーションであり神はAIであると断言する。
■シミュレーションに生きることを選択した3つの理由
2003年にオックスフォード大学教授で哲学者のニック・ボストロム氏が提唱して以来、この世界は高度なシミュレーションであるという「シミュレーション仮説」はテスラの創設者イーロン・マスク氏やアメリカの天体物理学者、ニール・ドグラース・タイソン氏など、驚くべきことに少なくない著名人からの支持を受けている。
英ポーツマス大学の物理学准教授、メルビン・ヴォプソン氏はシミュレーション仮説からさらに一歩進み、もし我々がシミュレーションの中で生きているのなら、その理由と目的はどこにあるのかという哲学的な疑問に取り組んでいる。
英タブロイド紙「Daily Mail」オンライン版のインタビューでヴォプソン氏は、我々がコンピューターシミュレーションの中で生きることを選んだ3つの理由を概説している。
1つめの理論は、我々が誕生時にシミュレーション世界に入ることを選んだのは、純粋に娯楽として楽しむためであるという理由だ。
理論によれば、我々が実際に生きている現実世界があまりも面白くないので、人類は作り物ではあるものの、はるかに興味深い人生の近似物である究極の“VR人生ゲーム”を作り出したのである。
その証拠に、有名人のゴシップ、スポーツ イベント、政治スキャンダルなどが溢れる現代の進行中のドラマは、決して我々を退屈させることはない。
「私たちはシミュレーションを娯楽の場として作りました。私たちが(誕生時に)そこに入り、そのすべての要素を備えたまったく新しい人生を体験することができます」(ヴォプソン氏)
2番目の理論は、シミュレーションは人類が現実世界の問題に対する解決策を提供できる可能性があるというものだ。つまりある問題に対して解決が可能であるのかどうか、シミュレーション実験を行っているというのである。この場合は自発的にシミュレーション世界を選んだわけではないことになる。
我々は全員、大義、つまり人類の長期的な利益のために、不本意ながら“実験台”としてシミュレーションの中に閉じ込められているのかもしれないというのだ。
「いずれかのシミュレーションで問題が解決すれば、それを実行可能な解決策として基本現実に取り入れることができます」(ヴォプソン氏)
そして最後の理論は人生を何度も送るためにシミュレーション世界を選んだとする説である。
シミュレーションの中で進む時間はきわめてゆっくりであり、たとえば現実世界の1分間は、シミュレーションでは最大で100年になる可能性があるという。現実世界の人生が平均80年と仮定すると、シミュレーションでは42億年、つまり5200万回以上の人生に相当するのだ。
「100回の人生経験は、基本現実ではわずか100分である可能性があります」(ヴォプソン氏)
シミュレーション世界で生きることを選択すれば、複数の人生を連続して飽きるまで経験することができ、不老不死に限りなく近づくことになる。
我々がシミュレーション世界で生きることを選んだ理由は娯楽のためなのか、あるいは“実験台”にされているからなのか、それとも疑似的な“不老不死”を生きるためなのか。そしてこの世がシミュレーションであることが証明される日がやって来ることがあるのだろうか。いずれにせよ興味は尽きない話題である。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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