以前、イスラエルの企業が日本の高齢者向け市場に参入しようと努力していると紹介した。そして今日はカナダ企業から話を聞いた。彼らは、高齢化で世界の先を行く日本を大きな市場と見ている。
わが国で新技術が介護保険の対象として認められる壁は高く、参入は容易ではない。また、わが国には実証実験の場、すなわちリビングラボも不足している。それらを承知の上で参入しようと努力しているイスラエルやカナダの企業には頭が下がる。
今日、話を聞いたのは以下の企業。
AWL Electricityは、電動車いすなどが簡単にワイヤレス充電できる技術を提供する。
Axtion Independence Mobilityが開発したのは、転倒時に立ち上がるのを助けるなど、足が不自由な高齢者を助けるモバイルリフト。
Kinetisenseは人間の動作を三次元で分析する技術。高齢者だけでなく、マンチェスターユナイテッドが選手の健康管理に利用しているそうだ。
LUCIDは、心理分析の結果に基づいて心を癒す音楽を個々人に合わせて提供する技術。すで米国FDAの承認を得ているそうだ。
NuraLogixは、遠隔からビデオ映像を分析することで、健康状態をモニタリングするAIソリューション。
Pontosenseは高齢者の転倒を高い精度で検知する技術を提供する。高齢者が転倒したらできる限り早く助ける必要があるので、この技術が利用できる。
PragmaClinはパーキンソン病患者の治療に資する遠隔モニタリングシステム。Skinopathyは皮膚の疾患を分析する技術を提供し、皮膚科治療の効果を上げる。
僕は彼らに次のようにアドバイスした。関連する国際標準に準拠するなど、国際整合した技術の方が受け入れ可能性は高い。また同じ国際標準に準拠した製品を開発中の日本企業と連携できるかもしれない。
一方で、介護保険での新技術利用の高い壁などは、政府の力で緩和して欲しい。貿易には互恵という原則がある。イスラエルやカナダの企業が日本でビジネスできれば、日本企業がイスラエルやカナダに進出できる。