政治
金融概念図
2024/12/05
名もなき暴落:歴史的な株価急落の本質を探る
ふたつの図を合わせたのが、『The NEXT』の図7-3である。金融の世界と証券の世界を合わせたものを広く“金融世界”ととらえ、私はこの図を金融概念図と呼んでいる。
要点をまとめておく。
金融と証券は、長期金融と債券が接点を持つことでつながっている。 中央銀行は短期金融と接続している。コール市場は中央銀行の前庭である。しかし、長期金融には短期金融を通じてしか関与できない。それができるようになるのは、中央銀行が国債売買にかかわり、国債市場で圧倒的に力を示すようになってからである。 株式市場には中央銀行は接点を持たない。このことは現代でも変らない。 個々の株式会社と中央銀行は接点がない。たとえトヨタであろうと中央銀行からお金は借りられないし、トヨタに中央銀行は指図できない。中央銀行がETF(上場投信)を通じて大量の株式(約45兆円)を買い、“日本株式会社”の事実上の最大株主になってしまうという事態は、この原理の図からみても、金融界の常識に照らしても異常である。
利子率と利潤率金融制度と証券制度は資本主義の二大制度であるが、それぞれ別々の契機から成立した。だから、律するものが違う。前者のそれは利子率で、後者は利潤率である。
A社の株価は、雑多な要因を無視すれば、A社がどのくらい利益をあげているかで決まる。つまりA社の利潤率である。それが配当を決めると考えてよい。
利潤率とはAはA’、BはB’、というように個々に成立する概念である。全社の平均(加重平均)は計算できるがそれは比較の基準にはなるだけで、個々の値が平均の中に吸収されることはない。
利子率は概念的にはひとつである。現実の世界は様々な金利があり相互に関係しあうが、中心の金利がある。それが短期金利と思われるので、中央銀行はこれを統制、そのことで金融界の法王になるのである。利潤率=株価はミクロの集合体であるが、利子率はマクロ現象である。一国内の全遊休貨幣が供給として片方に、もう片方に資金への全需要があり、ひとつの金利が決まると考えればよい。
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