この研究では、一般の若年男性6472名を調べたところ、テストステロン値が高い男性ほど、日常的なアルコール摂取量が有意に多くなっていることがわかったのです(Human Reproduction, 2014)。
テストステロンの多さはリスク追求傾向や自己制御能力に関連しており、テストステロン値が高い人は「過剰なアルコール摂取」といったリスク行動を取りやすくなるのだと指摘されています。
ここで注意すべき点は、テストステロン値が高く、アルコール摂取量が多いからといって「お酒に強いわけではない」という点です。
お酒をいくら飲んでも酔わない体質はまた別の話であって、テストステロン値とはあまり関係していません。
ですからテストステロン値が高く、アルコール摂取量が多い人は、暴飲に関連した疾患の発症率や死亡率も高くなると考えられています。
そしてもう一つ、テストステロンの多さが影響を及ぼす場所があります。
それが「薬指の長さ」です。
人差し指より薬指が長いと「酒飲み」になりやすかった
これまでの研究で、出生前に男性ホルモンのテストステロンに多く晒されていると、出生後に人差し指より薬指の方が長くなりやすいことがわかっています。
この「人差し指」と「薬指」の長さの比率を指し示したものが「2D:4D比」です。
人差し指は2番目の指(2nd digit)だから2D、薬指は4番目の指(4th digit)だから4Dと呼ばれます。
指の長さは出生前にどれだけの性ホルモンを浴びたかに左右されており、男性ホルモンのテストステロンを多く浴びた場合、薬指の成長がより強く促され、女性ホルモンのエストロゲンを多く浴びた場合、人差し指の成長がより強く促されます。
ですから、一般的には男性の方が人差し指よりも薬指の方が長くなりやすく、女性の方が薬指よりも人差し指の方が長くなりやすい傾向があります。