中国・杭州の中心商業地区にそびえ立つ、リージェント・インターナショナル・アパートメント。高さ206メートル、延床面積26万平方メートルの巨大な集合住宅は、都市生活の自給自足を実現する大胆な試みとして、世界的な注目を集めている。人口密集地域における住宅の未来についての議論を巻き起こす、この建築物。果たして、ユートピアか、それともディストピアか―――。
【こちらの記事も人気です】
ビルの中に街がある? リージェント・インターナショナル・アパートメントの驚くべき自給自足システム
リージェント・インターナショナル・アパートメントは、「ミニチュア都市」と呼ぶにふさわしい、他に類を見ない居住空間である。
通常の集合住宅とは異なり、ジム、スーパーマーケット、美容院、プール、複数の美容室など、様々な施設がビル内に併設されている。居住者は一歩も外に出ることなく、生活に必要なあらゆるサービスにアクセスできるのだ。広々としたバルコニー付きの部屋もあり、屋外で過ごすことも可能だ。まるでSF映画の世界のような暮らしである。
部屋の価格は、提供されるサービスの幅広さを反映している。窓のないベーシックな部屋は月額約1,500人民元(約3万円)、バルコニー付きの広い部屋は約4,000人民元(約8万円)で借りることができる。杭州ネットワークメディアによると、ピーク時には3万人以上が居住していたという。しかし、2021年の報告書では、正式に登録された永住者はわずか1万人だった。これは、居住者の入れ替わりが激しいことを示唆しているのかもしれない。