経営者と経営コンサルタント、両方に問題がある可能性
ここまで、経営者と経営コンサルタントについて、考えられる問題点を指摘してもらったが、中沢氏はどちらか片方ではなく、両方に問題がある可能性が高いとみる。
「現場で混乱が起きているのに軌道修正しないのであれば、経営コンサルタントのレベルが低いのと同時に、発注主である経営者が悪いといえます」
現場の声を聞かずに、経営者と経営コンサルタントが人員削減に踏み切った結果というわけである。SNS上では「あるあるすぎる」といった反応もみられるが、医療現場に限らず、一般企業でもあることなのだろうか。
「珍しくはないと思います。経営コンサルタントとしては、まず仕事内容を整理しておき、人員を削減する前に作業効率を上げる、余剰人員がどれほどあるのかを把握しておく、といった手順を踏んでから人を減らすべきなのですが、いきなり人員削減にとりかかると、現場に混乱が起きてメチャクチャになります」
通常、いきなり人員を削減するのではなく、経営の方向性や、経営状況を確認したうえで、どのくらいの人数が適正なのかを経営者側と経営コンサルタントがすり合わせを行うべきだというわけだ。
「私であれば、現場を視察し、現場のスタッフの声を聞き、そのうえで経営者の依頼内容に合わせて、どのように改善できるのか、何をすべきかといった提案をします。経営者の多くは、現場の詳細を把握できていないものです。そこで、経営コンサルタントの立場で現場を見て、客観的に見た実情を伝えることを大切にしています。経営者の要望だけで方針を決めるようなことはせず、現状を確認したうえでの提案という段取りは必要だと思います」
経営コンサルタントが入る価値というのは、経営者の一存で方向性を決めず、従業員の働く環境なども含めて外部から客観的に判断してアドバイスする点にあるはずだ。つまり、話題の病院における経営コンサルタントは、働き手の意見を無視した助言をしている可能性がある。
「医療機関は経営コンサルタントに対して、それなりに高額な報酬を支払うことが多いのですが、閉鎖的な環境であるがゆえに、広い視野で専門家を探すのではなく、“病院経営に携わったことがある人”といった条件をつけるため、資質が伴わなくてもずっと同じ業界に居座り続けることができたりするのです」
経営コンサルタントの質が悪いだけではなく、そのようなコンサルタントの資質を見抜けず、現場の声も無視する経営者にも問題があるというのが、今回の問題の本質ではないだろうか。
(文=Business Journal編集部、協力=中沢光昭/リヴァイタライゼーション代表)
提供元・Business Journal
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