ドイツ民間放送ニュース専門局ntvのウェブサイトのコラムリスト、ヴォルフラーム・ヴァイマー記者によると、来年1月20日からスタートする第2期トランプ政権の閣僚には少なくとも6人の億万長者がいるという。彼らが主導してトランプ氏の‘米国ファースト’‘偉大な米国の回復’を目指すというわけだ。
同記者によると、トランプ氏の資産はフォーブスの推定によると約56億ドル、世界一の富豪イーロン・マスク氏は資産3000億ドル超、新しい内務長官ダグ・バージム氏は約10億ドル、教育長官に指定されたリンダ・マクマホン氏は約25億ドル、ヴィヴェック・ラマスワミ氏は約10億ドル、そして新しい商務長官に就任予定のハワード・ラトニック氏の資産は15億ドルと見積もられている。その政治能力、手腕は別として、米国の夢を実現した億万長者たちの集まりだ。
億万長者たちは平均的な米国民の願いや期待を果たして理解しているだろうか。平均的な労働者ではない彼らが今後、米国と世界の動向に大きな影響を与えていくわけだ。大資本家でもある彼らは自身の経済活動を切り離し、国益優先した政治活動ができるだろうか、等々の疑問が出てくる。しかし、11月の大統領選で少なくとも億万長者の一人でもあるトランプ氏に多くの労働者が票を投じた。億万長者のステイタスは少なくとも米国ファーストを指向する上では大きな障害とはならないわけだ。
ちなみに、トランプ氏は第一期政権の発足時、自分は大統領の給料はいらないと表明し、国のために奉仕すると語っていたことを思い出す。とすれば、第2期政権に参加した億万長者たも無給で国のために奉仕する決意の集団とみて間違いない、と期待したい。
ヴァイマー記者はコラムの中でラトニック次期商務長官の人物評を紹介している。米国に輸出される商品に10%の関税を導入すると表明したトランプ氏の世界貿易の動向に神経質となっているドイツ産業界を意識し、トランプ氏の関税政策を主導する立場にあるラトニック氏の生い立ちやこれまでのキャリアについて言及している。