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自民党の総選挙惨敗

自民党は、「政治と金」の問題が最大の争点となった先般の総選挙で過半数を失い惨敗し少数与党に転落した。反対に、立憲民主党や国民民主党、れいわ新選組が大幅に議席を増やし躍進した。さらに、参政党や日本保守党も議席を獲得した。

選挙の戦略・戦術にも大きな変化が起こっている。先の東京都知事選挙ではSNSをフル活用した「石丸旋風」が起こった。今般の国民民主党の大躍進もSNSの活用が大きいとされている。さらに、兵庫県知事選挙の「斎藤再選」もSNS戦略の成功例とみられる。また、先般の名古屋市長選挙でも、自民・公明・立憲・国民推薦の前参議員候補が落選し、日本保守党推薦の新人候補が13万票の大差で当選している。

若者の政治参加

こうした選挙戦略・戦術の大きな変化の背景には若者の政治参加がある。これまで若者は保守的で政治に無関心とされ、自民党を支持する傾向が見られたが、ここにきて、変化が生まれている。政治に関心を持つ若者が増加傾向にある。

その背景には主として若者を対象とした不安定な非正規雇用の増加や可処分所得の低迷、結婚・出生率低下など、若者の不満や若者を取り巻く社会の不安定感や閉塞感があると言えよう。

こうした傾向は今後ますます増大すると思われ、若者の政治参加は広がるであろう。SNSに親近感がある若者が政治に関心を持つと政治が大きく動くことが実証されたのである。

近代日本の基礎を作った「明治維新」も、「黒船」に代表される欧米列強の植民地政策に対し、国家存亡の危機感を持った多くの20歳代~30歳代の若者である下級武士による大変革であった。

若者の発想を重視する斬新な政治を

今回の国民民主党の大躍進も、「103万円の壁」撤廃という可処分所得の増大策が若者の支持を得たからである。かつて、GDP世界第二の「経済大国」であった日本はこの30年間の経済停滞により、GDPで中国に抜かれ、ドイツにも抜かれ、さらにインドにも抜かれることが確実とされる。