日銀が27日発表した2024年9月中間決算によると、保有する国債の含み損は9月末時点で13兆6604億円となり、前年同期の10兆5000億円を上回り過去最大となった。日銀の利上げに伴う長期金利の上昇で国債の評価額が下落した。
日銀は3月、マイナス金利政策の解除に踏み切り、7月には追加利上げを決めた。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは、3月末時点の0.7%台前半から9月末には0.8%台半ばに上昇。保有国債の時価が簿価を下回り、評価損が拡大した。
日銀は国債の満期保有を前提とした会計処理を採用しているため、含み損は決算に反映されない。含み損が膨らんでも「政策運営能力に支障が生じることはない」(植田和男総裁)と説明しているが、日銀の財務状況への不安が高まれば債券・為替市場に影響を及ぼす恐れも指摘される。
また、利上げに伴い、民間金融機関が日銀に預け入れた当座預金への利払いの増加も財務を圧迫。利払い費は前年同期の920億円から3922億円に急増した。日銀は利上げを継続する方針だが、利払い負担で経常赤字に陥る可能性もある。
9月末時点の長期国債の保有残高は前年同期比0.3%減の582兆9910億円となり、16年ぶりに減少した。大規模緩和の下で進められた国債の大量購入を巡っては7月、段階的に減額する計画を決定。今後も残高は減少する見通しだ。
金融緩和の一環として買い入れた上場投資信託(ETF)の含み益は33兆711億円(3月末37兆3120億円)に縮小。企業の純利益に相当する当期剰余金は1兆8357億円(前年同期1兆9282億円)に減少した。(了)
提供元・Business Journal
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