戦闘中の当事国とその国民には不謹慎なタイトルとなったかもしれない。イスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム過激テロ組織ハマス間で24日から休戦に入っている。その間、双方で人質を解放し、人道的救援物質などがガザ地区に運び込まれている。
ガザ地区の1人の中年のパレスチナ人男性が、「どのような合意内容が締結されたかは知らないが、ミサイルの炸裂する爆音を聞かなくてもいいので嬉しい。できれば明日もそうあってほしいね」と吐露していたのが印象的だった。
一方、テルアビブやエルサレムでは人質の全員解放を願ってイスラエル人が集まり、祈祷しているシーンがテレビで放映されていた。人質解放2日目に妻と娘さんを解放されたイスラエル人男性は、「嬉しいが、依然多くの人質が解放されていないので、まだ喜ぶことはできない」と述べていた。
イスラエルのネタニヤフ首相はイスラエル現職首相として初めてガザ地区に入り、前線で戦うイスラエル軍を視察し、兵士たちを激励していた。同首相は、「人質全解放とハマスの壊滅という2つの大きな目標は変わらない」と強調する一方、「可能ならば休戦を延期して人質を全員解放したい」と述べていた。人質解放初日、2日目、そして3日目と休戦状況は継続し、人質も解放される度に、イスラエル国民は喜びを表す、その姿を見ているネタニヤフ首相は休戦を4日間で終え、戦闘を再開するとは言えなくなってきているかもしれない。
一方、ハマスは人質解放の履行では少し遅れが出てきている。人質解放が遅れたために、イスラエル側から「零時前に履行しなければ戦闘を再開する」という最後通告を受けたが、土壇場で人質解放は無事行われた。外電によると、10月7日のイスラエル奇襲テロを実行したハマス指導者4人のうち、3人がこれまでの戦闘で死亡したというから、ガザ地区のハマスは指導者不在の状態なのかもしれない。
休戦での懸念はハマスのほか、イスラム過激テロ組織イスラム聖戦の動きだ。10月7日のテロはハマスと共に実行していた。彼らも人質を取っている。だから、ハマスがイスラエル側と休戦に合意しても、イスラム聖戦が納得しなければ、休戦合意が破棄される危険性が出てくる。ちなみに、人質解放初日にはイスラム聖戦が拘束していたイスラエル人の人質が1人含まれていたというから、現時点ではハマスの命令のもとに動いていることが確認されている。
ハマスは10月7日、イスラエル側に侵入し、1300人のイスラエル人を殺害。それに対し、イスラエル側はハマス壊滅を掲げて報復攻撃を開始、連日ガザ地区のハマスの軍事拠点を空爆。そして地上軍を派遣し戦闘を展開、ハマスの地下トンネル網を破壊し続けてきた。そしてカタール、エジプト、米国らの仲介もあってイスラエルとハマスの間でまず4日間の休戦、人質の解放が合意された経緯がある。