トランプ氏を支持してる共和党上院議員はほとんど投票していない。トランプ氏を支持しつつも、今回は賛成に投票したのは Capito(R-WV)、Risch(R-ID)、Kennedy(R-LA)の3名のみ。
トランプ氏はこの法案に賛成を投じないように呼びかけている。トランプ氏を支持している共和党下院議員の130名くらいは反対に投じる可能性が高い。逆にいうと、残り80名弱は賛成に投じる可能性がある。
民主党はほぼ全員が賛成に投じるだろう。おそらくサンダース上院議員に極めて近い立場をとるAOC議員などは反対に投じそうだが。サンダース上院議員は、この支援はガザの犠牲者を増やすだけだとしてずっと反対している。
また、この約20名という数字は覚えておいたほうがいい
来年、トランプ政権になった時に、トランプ氏の意向に沿わない投票をする可能性が高いからだ。トランプ氏が仮に大統領になったとしても、この約20名の議員+民主党議員約10名以上から承諾を得なければ新たな減税も2017年トランプ減税の延長も実現しない。
民主党上院議員はシューマー上院院内総務をはじめとして結束力が固いので、次期会期に票がわかれることはさらに少なくなるだろう。今まで造反してきたマンチン議員は引退、シネマ議員は無党派に所属変更している。
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この法案は、採決にさえかけることができれば、過半数を超える可能性が高いとみている。なので、採決にかけることができるかどうかがポイントになる。下院議長は強力な権限をもっており、どの法案を審議日程に掲載するかを決めることができる。そしてこのブログ執筆時点では2/13~16の投票予定には入っていない※1。
また、ジョンソン下院議長はすでにこの法案に対して声明をXで発表しており、明確に「採決しない」とは発言していないが、“the absence of having received any single border policy change from the Senate, the House will have to continue to work its own will on these important matters,” と表現しているので採決される可能性は極めて薄いと考えてよい。
My statement on Senate’s failure to address the most critical aspect of national security supplemental legislation: pic.twitter.com/ENjJ0WzKsK
— Speaker Mike Johnson (@SpeakerJohnson) February 13, 2024
では、上院で可決したがこのまま採決されないのかというと、そうでもない。
シューマー上院院内総務は、ジョンソン下院議長と対話して交渉するつもりだと宣言している。ジョンソン下院議長がそれで方針を変えるとは思いにくいが、交渉の巧みなシューマー上院院内総務なので、わずかな望みはあるだろう※2。
また、付託解除請願(discharge petition)として、ジョンソン下院議長を迂回して採決に持ち込む方法もある。それには218名の署名が必要になるため、民主党は+5名が必要になる。共和党下院議員から誰かが造反する必要があり、下院指導部の方針を強く非難することにもつながる。これを実施した場合は、ジョンソン下院議長の弾劾にまた一歩近づくことになるだろう。
尚、ジョンソン下院議長はウクライナ支援そのものに反対しているわけではない。下院共和党議員の中にも、ウクライナ支援そのものに反対する議員はむしろ少数で、ウクライナ支援には反対してはいないが先に国内対応(特に国境)でやるべきことがあるという意見は多く見受けられる。
ジョンソン下院議長も対外支援よりも先に、国境の安全を確保する法案が先だという主張だ。
1月14日(日)夜、ジョンソン下院議長・シューマー上院院内総務・ジェフリーズ下院少数党院内総務・マコネル上院少数党院内総務はつなぎ予算の合意に達したと発表している。
合意では、2024年度の裁量的支出の上限は$1.59兆。各委員会に$1.59の年度予算が配分されることになる。まずは、これをどう配分するかの検討段階となっていた。ところが、前進はしているが、現段階で各委員会への予算配分も決定していない。
休会中も水面下では交渉を続けるだろうが、2/25にワシントンに戻ってきて3/1と3/8に間に合うわけがない。特に上院は全会一致にしない限りどんなに早くても4日ていどかかる採決フローがある。
そうなると、つなぎ予算をさらに実施せざるをえないが、下院共和党がどう動くかはまだ明らかになってはいない。
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※1:Weekly Schedule ※2:Speaker Johnson rebuffs Senate Ukraine package
編集部より:この記事は長谷川麗香氏のブログ「指数を動かす米議会」2024年2月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「指数を動かす米議会」をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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