政治
2024/12/02
「空気の研究」の研究③:なぜアメリカは対日石油禁輸が絶対に必要だったのか? --- 金澤 正由樹
独ソ戦が始まったのには、別の理由もあるようです。それは、「バトル・オブ・ブリテン」でドイツが敗退したからとされています。
当初のヨーロッパ戦線では陸戦が中心で、1939年9月の開戦以来、ドイツ機動部隊による連戦連勝が続き、短期間でヨーロッパ大陸のほぼ全土を制圧しました。
ついにドイツはイギリスにもその矛先を向け、1940年7月にバトル・オブ・ブリテンを開始します。
ちなみに、1941年の地図を見ると、当時のヨーロッパ大陸はほとんどドイツ占領下となっています。
イギリスはヨーロッパと陸続きではないため、当然ながら戦車は使えず、ドイツの誇る名戦闘機メッサーシュミット、そしてイギリスのスピットファイアーとの空中戦対決となりました。
バトル・オブ・ブリテンの勝敗を決めたものしかし、メッサーシュミットの性能を過信したドイツは見事に失敗。イギリスのレーダーが優秀だったなど、いろいろな理由が指摘されていますが、最大の理由はメッサーシュミットの航続距離が短か過ぎたことでしょう。
なにしろ、メッサーシュミットは、イギリス上空ではせいぜい30分しか戦えなかったのです。いくらパイロットやメカの性能が勝っていても、イギリスが誇るレーダーで探知して待ち構え、30分間もちこたえればいいのですから、ドイツが制空権を取れるわけがない。
もっとも、戦闘機に補助燃料タンクを搭載すれば、航続距離は大幅に伸びます。だから、性能で勝るメッサーシュミットと補助燃料タンクを組み合わせれば、ドイツはスピットファイアーに絶対に勝てたはず。なぜ使わなかったのかは謎ですが、ヒトラーがメカや戦略に“素人”だったからもしれません。
以上のことから分かるのは、第二次世界大戦の「メイン」はあくまでヨーロッパ戦線で―これは当時の国力、軍事力、人口から言って当然ですが―アジア・太平洋はさして重要ではない「サブ」に位置付けられていたということです。
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