数年前まで、時計について何も知らなかった私。「時計に何百万もかけるなんて信じられない……」そんなことも思っていました。
しかし、高級時計に携わる仕事を通して(そして、Watch LIFE NEWS編集長菊地さんからの学びを経て笑)時計の奥深さや、それぞれの方が大切に、思いを込めて時計を所有していることを知りました。「トレンドに流されず、自分のスタイルを持ち、次世代へとつないでいくこと」はとても素敵なことです。
この連載企画では、そんな高級時計の世界に興味をもった20代の女性が、素敵な時計を身に着けているおしゃれな人々を紹介します。
本日はスタートアップ企業で働く、ルイさんの時計を取り上げます。
Louis Gueguen(ルイ・ゲゲン)
日本生まれ。2歳まで東京で過ごし、パリで育つ。子供時代も日本へは数年ごとに戻ってきており、フランスの大学に在学中も、留学生として長期にわたって名古屋で過ごしたり、東京でのインターンシップも経験。卒業後は日本で就職。現在33歳で、病院向けの AI テクノロジーを開発する日本のスタートアップ企業のビジネス責任者を務める。筋トレや旅行を愛し、犬と遊ぶのも好き。健康を維持しながら外出も楽しむ(飲酒は控えめに)
さて、そんなルイさんが着けている時計は?
「1975年製のオメガ・ジュネーブです」
いつ購入されましたか?
「2024年の4月に買いました」
最近ですね!
なぜそのタイミングだったのですか?
「友人が日本に遊びに来た時でした。彼はロレックスを欲しがっていて、中野に一緒に時計を見に行きました。僕はただついていくだけの予定で、時計を買うつもりはなかったのですが、お店でこのオメガにひと目惚れしてしまいました」
ひと目惚れだったのですね!
「はい。実は、以前所有していた時計が盗まれてしまって……。フランスのメーカー、YEMA(イエマ)の時計を持っていたのですが、1年前に修理に出したときに盗まれてしまったんです」
なんと!
「なので、今年中には別の時計が欲しいなと思っていたタイミングではありましたが、その日は買うつもりはなかったんです。しかし、友達と待ち合わせるために入店し、ヴィンテージ時計を眺めていたところ、この時計に心引かれてしまいました」
まったくのひと目惚れだったのですね!
「はい。実は、2 年前からスタートアップ企業で働いているんです。前職で支払われていたような高い給料を受け取る代わりに、いまの会社を選びました」
そうだったのですね。
「はい。なので、事業が成功するまでは、大きな出費を抑えようと思っていたため、新しい時計を手に入れるとは予想してませんでした。
でも、その間に会社にとって重要な取引をいくつか成功させることができ、報酬としてコミッションを受け取りました。その時に、時計を購入した選択は正しかったと感じました」
“放てば手にみてり”じゃないですが、時計を買ったことが運気を引き寄せたのかもしれませんね!
「この時計は“安定・安全な仕事ではなくスタートアップに就職する”という数年前に下したリスクを伴う選択と“これまでの努力の成果”を祝う時計のように感じます。難しい選択であっても自分の心に従うことが、夢に近づくステップになる、ということを思い出させてくれます」
素敵です!
この時計のどんな点に引かれたか教えてください!
「シンプルですが、個性のある時計だと思いました。
特徴的なフォルムで、ガラスのラフなエッジと丸いデザインは自分の好みにぴったり。そして最近のモデルと比べて非常に柔軟で通気性に優れた、この 1975 年製のブレスレットもとてもお気に入りです」
この時計を購入した決め手は?
「普段使いのクラシックな時計が欲しかったのですが、特にスーツやシルバーアクセサリーに合わせやすいものが良かったです。このオメガの控えめなスタイルと、傷やそのほかの経年劣化の味わいなど、この時計がもつ”歴史”が気に入りました 。
高価な時計ではありませんが、 “if you know, you know” (知る人ぞ知る)的な時計であることが気に入っており、手に入れて以来ずっと愛用しています!」
当時、ほかに検討していた時計はありましたか?
「派手すぎたり、高すぎるものは望んでおらず、セイコーかオメガを検討していました。この時計は以前使っていた時計とはまったく違う、四角い形と金属製のブレスレットが気に入りました」
実際にこの時計を着用していてどう感じますか?
「個人的に、わかりやすいブランドや誰もが欲しがるような服やアクセサリーで目立つよりも、歴史やバックグラウンドをもつ、オリジナルなアイテムを身に着けることが好きです。
この時計は以前日本人の方が着用していた物だと思います。それがいまフランス人の手首にあると知って、前の所有者がどんな気分になるか、想像するのも楽しいです」
現時点で次に興味がある時計、または購入を検討している時計はありますか?
「特にないです。友情にもモノにも非常に忠実なタイプで、日用品をコレクションするのは好きではないんです」
ありがとうございました!
オリジナルなアイテムを好むルイさんの素敵なお話が聞けました。
またこの連載を通して皆さんのお話を聞くのを楽しみにしています。
⚫︎インタビュアー【菊地紗瑛 (Sae Kikuchi)】
1995年生まれ。現在東京でPRコンサルタントとして働く。美容・ファッション・ラグジュアリーなどto Cからお堅めのto Bまで幅広くPRを担当するなか、高級時計に関連したクライアントを担当したことから、時計業界に興味をもつように。
海外経験から、グローバル企業のPRを担当する機会も多い。
趣味はサーフィンと週末のパーティ。座右の銘はwork hard play hard。
Instagram:@saemeroo
提供元・Watch LIFE NEWS
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