新政権は長くは続かない
このようなサンチェス氏の首相のポストに何が何でもしがみ付こうとする姿勢の前に、この新政権がいつまで続くことができるのか未定である。
しかし、長続きはしないはずだ。何しろ、サンチェス首相は支持票を得るために自分の政党以外に7政党を味方につけたのである。そこには必ず交換条件がある。しかも、7政党は個々に異なった目的を持ち、或いはライバル関係にもある。例えば、カタルーニャ州とバスク州ではそれぞれライバルの2つの政党がサンチェス氏の支持に回ったのである。それぞれライバルの政党を政府が満足させるのは容易ではない。
独立派政党の望むことを叶えてやって、スペイン国家全体の未来を犠牲にしてまで首相のポストにしがみ付くサンチェス氏の我儘には、彼の政党のOBの多くまでが不満を表明し、離党した者もいる。
スペインで首相として14年政権を担った同じ政党のフェリペ・ゴンサレス氏は独立派政党に譲歩する前に、あらためて総選挙に臨むべきだと語っていた。サンチェス氏がなぜ再度総選挙をすることを敬遠しているのか? 理由は明らかだ。総選挙に臨めは負けることは自明であるからである。
これからいつまで彼の政権が継続するかわからないが、彼の政権が続く限りスペイン社会は不安定な状態が続くであろう。彼が首相に選出された同じ日にマドリードで1800人の企業家が集まった集会があったが、その中でスペインで最大規模のスーパーマーケットの経営者ロッチ氏は「同じようなことがポルトガルで起きていれば、わが社のポルトガルでの投資は控えめにしていたはずだ」と語った。
サンチェス氏のこれまでの政権下では、企業に対し税率を上げたりして企業経営を容易にする対策を講じてこなかった。また今回の首班指名でのサンチェス氏は演説の中で利益を上げている企業へは今後も課税の対象にしていくことを表明した。これがスペイン企業連合で同氏への支持が低い要因となっている。
これからも終末には恩赦に反対する抗議デモが続けられることであろう。11月18日には全国での抗議デモがあったが、マドリードでの参加者は17万人と警察当局は発表した。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?