アメリカでは、毎年11月23日は「ナショナル・エスプレッソ・デー」。エスプレッソといえば、本来はイタリアが本場ですが、アメリカでも濃縮されたリッチな1杯をじっくりと楽しむ飲み方が独自の広がりを見せています。
イタリア生まれのエスプレッソがなぜアメリカでここまで人気になり、特別な日にまでなったのでしょうか?歴史の裏側やエスプレッソが持つ独特の魅力について深堀りしてみましょう。
目次
アメリカでエスプレッソが人気の理由
エスプレッソがアメリカで受け入れられた背景には、イタリアからの移民たちが持ち込んだ家庭用のエスプレッソメーカー「マキネッタ」(モカポット)やエスプレッソマシンの普及がありました。
特に20世紀初頭のイタリアン・コミュニティーが大きかったロサンゼルス周辺では、マフィアの隠れ家とも噂された小さなカフェが集まる地域もあり、そこでイタリア生まれ、アメリカ育ちのエスプレッソが独特の文化を育んだといいます。
これは現代のコーヒー文化の一部に受け継がれており、カフェではエスプレッソ専用のメニューが設けられるほど、アメリカでもエスプレッソの人気は不動です。
エスプレッソの味わい:豆と抽出のアート
エスプレッソの1杯が持つ独特な力の秘密は、豆の選別と焙煎、そして抽出方法にあります。
興味深いのは、アメリカのカフェでは「エスプレッソ用の豆」が必ずしもダークローストであるわけではなく、時にはミディアムローストで焙煎されることもある点です。これは、結構アメリカならではなのだそう。エスプレッソの真の魅力を引き出すために、豆そのものの風味を最大限に活かすための方法です。さらに、アメリカでは「ブロンド・エスプレッソ」と呼ばれる特別な種類のエスプレッソも人気。
通常のダークローストとは異なり、ブロンド・エスプレッソは明るく酸味のある風味が特徴で、これにより、まったく新しいエスプレッソが体験できるのです。これもまた、アメリカでナショナル・エスプレッソ・デーの人気を後押しする理由の1つなのです。
ナショナル・エスプレッソ・デー:知る人ぞ知る裏話
「ナショナル・エスプレッソ・デー」が誕生した背景には、エスプレッソの伝統を祝うだけでなく、アメリカ人の生活の中にエスプレッソをもっと取り入れてもらいたいという(商業的な?)意図もあります。
アメリカのエスプレッソ専門カフェでは、この日に限り通常の1杯とは異なる特別な豆を使用する店舗も多く、リッチな風味を求めるコーヒーファンにとってはまさに至福の1日になるのだそう。
毎日、水のようにコーヒーを飲む人、コーヒーなしでは生きていかれないほどのコーヒー中毒の人もアメリカでは多い印象ですが、ロサンゼルスではこの日を記念して、「ダブルショット」や「トリプルショット」を注文する人が増えるのだそう。
これは通常の1杯よりもさらに濃いエスプレッソ体験を求める人たちに大変支持されています。一部のカフェでは、エスプレッソのコクを極限まで引き出す「オーバーエクストラクト」をあえて行い、苦みと甘さの対比を際立たせる挑戦メニューも登場します。
苦いコーヒーが大好きな筆者も、このメニューは興味津々です。
ロサンゼルスでのナショナル・エスプレッソ・デーイベント
ロサンゼルスでは、11月23日にエスプレッソ愛好家が集まるイベントが開催されることもあるそうです。例えば、有名なカフェチェーンの「ブルーボトル」や「ヴァーヴ・コーヒーロースターズ」では、エスプレッソを「ドライアイススモーク」で香り付けしたり、エスプレッソ豆から香り成分を抽出したアロマセッションが行われるそう。
エスプレッソの香りに包まれるような体験ができるため、コーヒーファンの間で特に人気です。
Blue Bottle Coffee
- 住所:300 South Broadway, Los Angeles, CA 90013
- 電話番号:+15106613510
- 営業時間:月~金曜 6:30~17:30 土・日曜 7:00~18:00
- 定休日:無し
Verve Coffee Roasters
- MANHATTAN BEACH
- 住所:451 Manhattan Beach Blvd, Suite 451B Manhattan Beach, CA 90266
- 電話番号:+1424-370-0321
- 営業時間:7:00~18:00
- 定休日:無し
家庭で極上のエスプレッソを楽しむ秘訣
さぁ、ナショナル・エスプレッソ・デーに合わせて、ご自宅で本格的なエスプレッソを楽しんでみてはいかがでしょうか。例えば、「ダブルタンピング」というテクニック。豆をタンパーで圧縮する際に二段階で圧力をかけることで、クリーミーで濃厚なエスプレッソが完成します。あるいは、「ミクロフォーム」を作るための温度管理や蒸気のコントロールなど、家庭でもエスプレッソの質を追求できるポイントがいくつもあります。
これまで私もエスプレッソはお店で飲むことしかしていませんでしたが、今年は、ブラックフライデーに家庭用エスプレッソマシーンを狙っているほど。
今年のナショナル・エスプレッソ・デーには、ぜひエスプレッソの奥深さをさらに知り、アメリカならではの独自文化やイベントも楽しんでみてはいかがでしょうか。
文・写真・SOLO/提供元・たびこふれ
【関連記事】
・避暑地アッター湖で、クリムトセンターと「クリムトの庭園」を訪ねる
・ベルリン郊外に残るベルリンの壁跡地でハイキングやサイクリングを楽しむ
・高速列車「あずま」で東海岸を行く、ロンドンーエディンバラ間鉄道の旅
・【北海道】異国情緒溢れる街・小樽に行ったら、たくさんの笑顔に溢れていた。
・ハワイ・ハレイワタウンでランチをするなら?食べたい内容別のおすすめ5店を紹介