カナダのトルドー首相はすぐさまトランプ氏と電話会議をし、カナダの立場を伝えていると報じられています。個人的な感触としては25%の初日関税はないとみています。そもそもカナダ、アメリカ、メキシコの貿易協定であるUSMCAは2026年に更改することになっており、それに向けて様々な条件交渉が行われると認識しています。よって大統領就任初日に25%の関税を課すというのは唐突過ぎるし、それはトランプ氏を暴走させる最悪のシナリオの一歩となるでしょう。

トランプ氏は集団交渉が嫌いですからトルドー首相が昨日すぐさま自らが2時間にわたる電話交渉をしたのは戦略的には正解でしょう。メキシコは10月にシェインバウム氏が大統領に就任したばかり。彼女は左派でトランプ氏とどう対峙するのか手腕も含め全く未知数であり、今後の展開に注目です。中国は単純な報復関税に踏み込まないとみています。習近平氏は腹案を練っているでしょう。単純な関税報復戦争が双方に意味をもたらさないことは前回のケースでわかっているはずですから相手の脅しに乗らず別の一手を検討するものと考えています。

さて、この報道でビビったのが日本です。もちろん、将来的にトランプ氏が宣言している10%の世界関税も気になりますが、それ以上にメキシコに生産拠点を持つ日本の自動車メーカーへの影響が最も気になるところでしょう。私は10日ぐらい前のブログで日産自動車は厳しく、関税処置によっては同社は一気に吹き飛ぶという趣旨のことを述べました。それ以降も日産について気に留めているのですが、同社の体力は相当弱ってきており最大の稼ぎどころのアメリカと中国での不振、及び売れる車がそもそもないという状況は1999年のあの日産に逆戻りしている公算は強いとみています。問題は今は世界的に自動車業界は弱いので救済できるところがあまりない点を含め、同社の動向は要注目だと思います。

日本政府としてはトランプ氏の二国間交渉主義にどう対応するのか早急に体制を整える必要があるでしょう。トランプ氏と交渉できる芯のある交渉人です。本来であれば石破氏がそうであるべきですが、とてもじゃないですが、私には想像できません。では他に誰がいるのか、と言われるとこれまた難しいのですが、個人的には茂木氏か前首相としての岸田氏なのかな、と思います。タフなネゴシエーターとしてトランプ交渉人になって頂くのです。また戦略の一環として手を変え、品を変え、というやり方もあるのでここは硬軟織り交ぜた話をする準備を早急にした方がよいと感じます。仮に茂木氏がネゴを上手にこなせば次の首相の芽も出てくるかもしれません。