神戸は相手ボール時に大迫とMF井出遥也が最前線に残り、[4-4-2]の守備隊形を敷いたものの、この際にG大阪の2ボランチ(ダワンとMF鈴木徳真)を誰がどのタイミングで捕捉するのかがはっきりせず。ゆえに神戸2トップと中盤の間でダワンが度々フリーになり、不自由なくボールを捌く場面が多かった。
こうした状況を受け、神戸陣営はハイプレスを諦め撤退守備へ移行する。大迫と井出の2トップも帰陣し、チーム全体で自陣のスペースを埋めようとしたが、今度はG大阪の2センターバック(福岡将太と中谷進之介の両DF)へのプレスがかからず。前半12分には福岡にボールを運ばれ、攻め上がった黒川へのパスを許したほか、この直後には中谷に正確な縦パスを繰り出されていた。
劣勢の神戸が施した工夫は
前半16分に繰り出されたDF山川哲史のロングパスを皮切りに、神戸の攻め方が変わる。それまではG大阪の最終ライン手前へ落ちるロングパスが多かったが、この場面以降は最終ラインの背後を狙うものを織り交ぜるように。これによりG大阪の4バックは後退しながらのヘディングを強いられ、ゆえに弾き返したボールの飛距離が伸びず。先述の山川のロングパスも、G大阪のサイドバック黒川の背後を狙ったものであり、同選手のクリアボールに武藤が反応できている。黒川による後退しながらのクリアボールはタッチラインを割り、神戸はこの直後のスローインから攻勢を強めた。
ロングパスの落下地点に選手を密集させ、こぼれ球の回収に全力を注ぐ。至ってシンプルな攻め手だが、こぼれ球の回収率を上げるには先述の通り、ロングパスの送り先に工夫が必要である。この細部の突き詰めが実を結んだのが先制ゴールの場面だった。
ここでは神戸GK前川がG大阪の最終ラインを後退させるロングパスを繰り出したため、中谷が自陣後方へ下がりながらの守備を強いられている。途中出場の神戸MF佐々木との競り合いの末、中谷のクリアが不十分になると、このこぼれ球に大迫、武藤、宮代が反応しゴールに結びつけた。