山本太郎氏は現地の声を引きながら、今回の震災を「東日本大震災の次くらいのレベル」と表現しています。

ではどこでボタンを掛け違えているのか、丁寧に紐解いていきたい。

まず大前提として「同じ災害・被災地は2つとしてない」ということです。復旧・復興に共通するノウハウがあるとはいえ、この大前提にまず立たなければいけません。

東日本大震災の時に、行政と連携しないNPOや支援団体が活躍し、行政の手が行き届かない地域にまでカバーしたことは事実です。私たちは当時、そうした行政と連携しないボラ活動をある種の誇りとともに「野良ボランティア」と呼称していました。

しかしそれは、あまりにも被災範囲が広域で、行政だけではとても支援の手が行き渡らないことが明白だったからです。

翻って今回の能登地方の災害は、大きく事情が異なります。被災範囲は深く、そして狭い。

能登地方にいけるルートは厳しく限られ、緊急車両を優先するために被災地から「個別のボランティア・支援物資は避けて」と再三の要請が発令されています。

こういう状況下においては、行政と連携しない個別ボランティアは、たまたま一つ地域に刺さることがあったとしても、全体最適を阻害して被災地全体にはマイナスになります。

よって、「現地(のNPO)から要請された」ことは決して免罪符にならず、それが行政・災害対策本部と連携している組織でなければ、個別最適に過ぎない活動に従事していることになりかねません。

「安全圏から文句だけ言うな!」「被災者ひとりひとりに寄り添う政治家こそが本物だ」

というご意見も沢山いただきました。お気持ちとしてはとても理解できます。

しかし、それは命を大事にする政治家であればあるほど、寄り添ってはいけない「お気持ち」です。

被災地に親族や知り合いがいても、自分を殺して要請に従い待機している人たちが大勢いて、私のもとにはそういう人たちからの悲痛な声も沢山届きます。

小さな声を拾う、一隅を照らすのが政治家だとするならば、緊急車両の到着を待つ人々の存在にこそ想像力をはせるべきではないでしょうか。

石川県ではボランティア募集の事前登録が始まり、三連休も続いた不眠不休の救助・復旧活動により、もう少し待てばボランティアの受け入れ体制が整うはずです。

復興支援は長期戦だからこそ、山本太郎議員のような発信力は、ボランティアが不足してきた局面でこそ発揮されるべきものですし、期待したいと思っています。

岸田総理からも激甚災害の指定が表明されました。引き続き政府与党や現地の行政・災害対策本部からの情報に注視しながら、被災地支援に邁進してまいります。

編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2024年1月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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