消えた「スマイル0円」

 背景にはサービス業における接客をめぐる変化もあるという。

「カスハラというキーワードがクローズアップされるなど、サービス業ではお客が店員に横柄な言動を行ったり、無理な要求をするといったことは批判されるべきという風潮が強まっており、店員がお客に過度に丁寧なサービスを提供したり下手に出るということが見直されつつあります。それは、多くの日本人が飲食店や小売店でも実感し始めていることでしょう。マクドナルドでいえば、これまで『スマイル0円』がキャッチコピーとして有名で、かつてはレジカウンターの上に掲げられたメニュー表示盤にも記載されていましたが、現在ではまったくアピールしていません。昨年には『スマイルあげない(「No Smile」)』キャンペーンを展開しましたが、これは『低価格で一定のクオリティの料理を提供し続ける代わりに、もう従業員に笑顔や高い質のサービスまでは求めないでくださいね』というマクドナルドからのメッセージだと受け取れます。

 こうしたムーブメントに加えて、ここ数年は多くの企業が個々人の『自分らしさ』を強調する広告やPR活動を展開しており、それは消費者側だけではなくワーカー側も自分らしくあるべきという文脈で語られています。採用面接でも『服装・髪色は自由なので、普段のあるがのままの自分で来てください』とする企業が増えています。そして『お客と店員が対等な関係であるべき』という価値観が浸透し、特にそれほど価格帯も高くなく気軽に利用される外食チェーンにおいては、客側も店員の髪色を意識するようなことはなくなりつつあるのかもしれません」(外食チェーン関係者)

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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