投資は、広義には、経済活動に資金を投じることで、資金が投じられる先には、資金を調達する企業等の経済活動主体がある。同じことを逆向きにいえば、企業等の経済活動主体は、金融機関も含む広義の投資家から資金を調達して、それを事業に投じているのである。そして、経済活動主体は、調達した資金を稼働させて、付加価値を創造し、創造された付加価値は、調達資金の利用料として、投資家に分配されるわけである。

こうして、経済活動が付加価値を創造していくなかで、即ち、経済が成長していくなかで、経済循環に投じられた資金は、循環過程で増殖していき、その増殖分が融資の利息になり、投資の利益になり、不動産等の賃料になっているのである。

Andrii Yalanskyi

資金調達には、多種多様な方法があるが、基本には三類型に整理される。第一は、融資を受けたり、債券を発行したりして、債務を負担すること、第二は、株式を発行して、資本を増加させること、第三は、不動産等の資産を売却することである。そして、これら三類型のなかには、様々に異なる個別の手法があり、更に、三類型の中間には色々な混合型の変種がある。

資金調達側にとっての調達手段であるものは、投資家側からみれば、投資対象である。例えば、社債や株式は、発行体企業にとっての資金調達手段だが、投資家にとっての投資対象であるように、同じコインの片面が投資対象ならば、反対面が資金調達手段なのであり、コインには多様に異なる種類があって、その一種として社債や株式があるのである。

資金調達した企業等は、資金供給した投資家等に対して、創造した付加価値を分配するが、分配には法律上の優先順位が付けられていて、その優先順位の差が資金調達手段の差であり、同時に投資対象の差になっている。

創造される付加価値は経済情勢によって変動するのだから、投資対象としては、融資や債券のように、優先順位の高いものほど、分配を得られる確率が高い、即ち、安全性が高くなり、逆に、株式のように、優先順位の低いものは、安全性が低くなる。しかし、大きな付加価値が創造された場合には、優先順位の高いものは、分配額が一定であるのに対して、優先順位の低いものは、分配額が大きくなる。ハイリスク、ハイリターンとは、こうした事態を意味しているわけである。