■ナチスの下で“渦エンジン”の開発に取り組む
シャウベルガーは自分の考えを現実のものにするために、水の渦の互いの相互作用でますます大きな力を生み出し、それが重力に対抗する力、本質的に反重力を生み出すことができるという理論を思いついた。この反重力を彼は反磁性(dia-magnetism)と呼んだ。
彼はこれらの理論を使用して、水と空気からエネルギーを生み出すエンジンを開発した。これは文字通りの“クリーンエネルギー”であり、自然との共生という原則に基づいて機能し、汚染をほとんど発生させず、完全なる持続可能エネルギーであった。
このような“エコな”クリーンエネルギーの提唱者とナチスドイツの関係はまったくもって奇妙な組み合わせである。
1934年、シャウベルガーにナチスが最初の接触を図った。そして4年後の1938年、シャウベルガーはナチス党員ユリウス・シュトライヒャーから、浮揚し、正確な操縦を行うことができる円盤状の航空機に搭載する“渦エンジン”の開発に取り組むように命じられたといわれている。
優れた加速と高速飛行が可能なこの“渦エンジン”にナチスは興味を持ち、彼の理論を使って未来的な反重力航空機を作ることを思い描いたのだ。そしてシャウベルガーにはこの命令に背く選択肢はなく、多額の協力金を積まれて開発に着手することになったのだ。
開発を始めて2年後の1940年、彼は「リパルシンA(Repulsine A)」と呼ばれる、最初のプロトタイプを作成した。これは渦と周囲の空気の摩擦を利用して空気を下向きに放ち、全体的な揚力と推進力を発生させるものであり、一種の“竜巻発生装置”であった。
ただしエンジン駆動が不安定であり、ブレードが空気を吐出す量が多すぎたため、デバイス内のファンが必要な速度で回転できないことが判明した。当時、より強い回転エネルギーを生み出すという問題を乗り越える方法は見当たらず、残念ながらこの装置は実用的ではないと判断されるに至った。
航空機のテスト中に機体は実際に浮揚したのだが、制御したり前進したりすることはほとんど不可能であり、たいていは制御不能でふらついたり、屋根を突き破って飛び出したりしたということだ。伝えられるところでは、シャウベルガーが実用的なプロトタイプを作成できなかったため、ハインリヒ・ヒムラーの管理下に入る前に、しばらくの間投獄されたという。
その後、彼は新しいタイプの静謐小型潜水艦の設計に取り組むことを余儀なくされ、「Vril-7」と呼ばれる新しいバージョンの反重力装置の設計作業を続けることを余儀なくされたという。
しかしそうしているうちに第二次世界大戦末期になり、ナチスの秘密研究は停止し、連合国の手に渡らないようにと、彼の作品、プロトタイプ、設計図のほとんどが破棄された。
アメリカはシャウベルガーがナチスドイツにとってどれほど重要な人物であったのかを知っていたので、彼を逮捕してアメリカに連行し激しく尋問したが、彼から多くの情報を得ることができなかったという。
シャウベルガーが編み出した基本原理は、冷戦時代に開発されたVTOL航空機である「アブロカナダVZ-9アブロカー」など、いくつかのプロジェクトによって後に活用された。
シャウベルガーは、発電機、水処理、空気浄化装置などのさまざまな民間の渦技術プロジェクトに取り組み、最終的に1958年9月25日にほぼ無一文でオーストリアに戻り、その5日後に亡くなった。彼が持っていたあらゆる秘密は自身と共に墓標の下に完全に封印されることになる。
シャウベルガーが取り組んでいた“渦エンジン”の開発は実際にはどの程度進んでいたのか。あるいは極秘裏に完成していたのだろうか。彼は多くの点でつかみどころのない存在のままで、その研究範囲も知られておらず、今もその神秘的な研究について多くの議論がなされている。シャウベルガーと“渦エンジン”に関する新たな情報が明るみになる日は来るのだろうか。
提供元・TOCANA
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