【バクー時事】国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は24日、途上国の温暖化対策に充てる資金支援の規模について、先進国の主導により2035年までに「少なくとも年3000億ドル(約46兆円)」とする目標を盛り込んだ成果文書を採択し、閉幕した。先進国と途上国の対立により交渉が難航したが、延長2日目になって合意にたどり着いた。

 資金拠出の目標額は現在、年1000億ドル(約15兆円)で、3倍以上に増やす内容だ。資金は、途上国の温室効果ガス削減のほか、気候変動による災害への対策や農業被害の軽減といった取り組みに使われる。

 議長国アゼルバイジャンは当初、先進国が主導し、35年までに年2500億ドル(約39兆円)を途上国へ拠出する目標を明記した案を示したが、途上国が不十分だとして反発。その後、目標額を年3000億ドルとする案も出たが、意見はまとまらなかった。そこで、「少なくとも」という文言を追加する妥協案が示され、各国が折り合う形となった。 

 新目標の資金源に関しては、先進国の主張に配慮し、公的資金だけでなく民間資金の活用を認める。一方、先進国は中国などを念頭に温室ガス排出量が多い新興・途上国も拠出するよう求めていたが、成果文書には「自発的に貢献することを働き掛ける」と記すにとどめた。

 年1000億ドルの現行目標は09年のCOP15で定められた。COP29では、25年以降の新たな目標設定が議題となっていた。成果文書には、さらなる増額を求める途上国の声を踏まえ、資金規模を35年までに少なくとも年1兆3000億ドル(約200兆円)に拡大することが可能となるよう、すべての関係者に協力を呼び掛ける文言が記載された。

◇途上国資金支援の成果文書ポイント
 一、2035年までに年1兆3000億ドル(約200兆円)への拡大を可能にする協力を全関係者に呼び掛け
 一、先進国が主導し、35年までに少なくとも年3000億ドル(約46兆円)の目標を設定
 一、公的資金に加え、民間資金も可
 一、新興・途上国には自発的な貢献を働き掛け
(了)

提供元・Business Journal

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