イオンフィナンシャルサービス(FS)が、イオンカード詐欺被害相談ダイヤルを開設した。だが、イオンカードをめぐっては、何カ月も前から詐欺被害が大きな話題となっており、「対応が遅すぎる」との批判もある。特に今年、イオンカードの不正利用が発覚した利用者が、カードを止めてほしいと連絡したにもかかわらず、その後も何カ月にわたって不正利用が続いているといった報告が相次いだ。詐欺の手口は巧妙化し、被害相談も増加するなかで、対応に追われていたイオンFSが、なぜ今、専用ダイヤルを設置したのか。イオンFSに話を聞いた。

 イオンFSは11月20日、同社が展開するイオンカードに関する詐欺被害相談ダイヤルを開設。詐欺被害が相次いでいるなか、専用の電話相談窓口を設けることで対応を強化する狙いだ。

 今年、SNS上にイオンカードの利用者から、不正利用被害に遭ったという報告が相次いでいる。その内容は次のようなものだ。

「イオンカードの不正利用が6月に発覚し、止めてほしいと依頼しても利用が止まることはなく、8月までに30万近く支払いました。口座を解約(公共料金などの支払いも変更することに)し、新たな口座を開いたのです…が、また不正利用。恐怖しかありません。そして全く連絡くれないイオン」

「イオンクレジットカードに数十万円請求→イオンに不正利用連絡→カード止めます→カード再発行→返金の補償が効くか検討するから、3〜6ヶ月待って下さい→まずはそのまま数十万円を支払ってて下さい?え 支払いました カードは止めて再発行済だけど お金返ってくるのか不安しかない」

 カードを不正に使われ、イオンFSに連絡してカードを止めるように要請したが、その後も被害が止まらないというものや、不正利用された分の支払いを求められた挙句、補償されるか不明瞭といった報告だ。いずれも、イオンFSが対応に何カ月もかかっている様子が綴られている。

 イオン銀行とイオンFSは10月8日、公式サイト上で「【重要】フィッシングメールや不正利用などの被害にあわれたお客さまへ」と題する声明を発表。そのなかで、「詐欺被害にあわれたお客さまへの対応にお時間がかかっていることについてお詫び申し上げます」と謝罪。続けて「被害実態や複雑かつ巧妙化する犯罪手口の解明と被害金額の特定および返金処理などに時間を要しており、結果としてお客さまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしている事実は否めません」と釈明している。

なぜ今、専用ダイヤルを開設したのか

 さらに、この声明から1カ月以上たち今回、専用ダイヤルが開設されたわけだが、なぜこのタイミングでの開設なのか。Business Journal編集部はイオンFS広報部に話を聞いた。

「被害に遭われているお客様にはご迷惑をおかけしております。ご相談いただいている件数が多く、滞留してしまっている案件も多数あったので、その対応に当たる人員を増やしているのですが、同時にコールセンターで対応する人員も手配がつきましたので、専用ダイヤルを開設いたしました」

 現在、専用ダイヤルを設けなければならないほど、詐欺被害の相談が増えているのだろうか。

「相談いただいてからお待たせしてしまっているお客様が多いので、全社を挙げて対応しており、そのなかで対策本部などを立ち上げ、11月から体制を立て直しているところです。その一環として専用ダイヤルを開設いたしました」

 詐欺被害の件数が多く、さらに手口が巧妙化していることから、イオンFSとしても対応に時間がかかっているという。「カードを止めてほしいと頼んでも不正利用が続いている」という報告についても、「カードを止めてもオフラインでの決済までは防げない」というクレジットカードとスマホ決済のシステムの穴を突く手口によって、被害が続いてしまっているという。

 カード会社側の対応が追い付かないほど詐欺被害が広まっているのが実情で、消費者としては、被害を未然に防ぐための自衛を心がける必要がある。イオンカードの公式サイトでも『暮らしのマネーサイト』に、注意すべきポイントをお知らせしているので、ぜひ参照してもらいたい。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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