政府は22日、物価高対策や能登半島の復旧・復興支援などを柱とする総合経済対策を閣議決定した。裏付けとなる2024年度補正予算案一般会計の歳出規模は約13兆9000億円、民間資金と合わせた事業規模は約39兆円。先端産業の支援や「年収103万円の壁」見直しに向けた検討も進める。

 石破茂首相は決定後、記者団の取材に「国民に暮らしが豊かになったと感じていただくため、賃金・所得が増えることが必要だ」と指摘。「コストカット型の経済から脱却し、高付加価値創出型への移行を目指す」と強調した。補正予算案は28日召集の臨時国会に提出し、年内の成立を目指す。

 経済対策は「物価高の克服」「国民の安心・安全の確保」「日本経済・地方経済の成長」の3本柱で構成。補正予算、事業規模は昨年の経済対策を上回り、特別会計などを含む財政支出は約21兆9000億円となる。

 物価高対策では、来年1、2月の家庭向け電気代を1キロワット時当たり2.5円、都市ガスは1立方メートル当たり10円助成し、3月は縮小する。ガソリン補助金は減額しつつ年明け以降も継続。住民税非課税の1世帯ごとに3万円を給付し、子ども1人当たり2万円を加算する。 

 地震や豪雨で被災した能登半島の復旧・復興や簡易ベッドの備蓄推進、避難所となる学校体育館の空調整備も加速させる。半導体・人工知能(AI)関連では30年度までに補助金など計10兆円以上の支援を実施。地方経済の価値向上のための交付金も創設する。

 内閣府は、今回の対策が実質GDP(国内総生産)を約21兆円押し上げ、来年2~4月の消費者物価を0.3%程度引き下げる効果があると試算している。

 税制関係では自民、公明、国民民主の3党合意を受け、「103万円の壁」を25年度税制改正で議論し引き上げる方針を明記。ガソリン減税は自動車関連税制の見直しに向けて検討し、結論を出すとしている。(了)

提供元・Business Journal

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