医療事故を減らすための根本的な対策
病院の報告書によれば、医療事故の結果、患者の死亡や顔面麻痺、意識障害、嚥下機能喪失といった後遺障害も生じているが、A医師が手術を繰り返すに至った点について、病院のガバナンスを問題視する向きもある。
前出・新見氏はいう。
「8カ月で8件というのは問題があるとは考えられるものの、現在の医療現場においては、どのような基準で医療事故であると判断し、そして、誰がどのような基準と判断に基づき手術をやめさせることを医師に強制できるのかは、非常に難しいです。
医療事故を減らすための根本的な対策は大きく2つあると考えています。ひとつは医療訴訟が増えることです。現状では、医療事故が起きても、その大半は訴訟になっていません。患者や家族が病院に訴訟を起こしても勝てないと思っていることや、医療訴訟に精通する弁護士の数が少ないことなどが理由ですが、もっと訴訟が増えれば、病院側はもっと真剣な姿勢になるでしょう。ですので、患者の側としては、不審を感じることがあれば弁護士に相談すべきだと思います。
2つ目は医師の偏在です。医療事故の増加の要因として医師不足がいわれますが、個人的には医師の絶対数は足りていると考えています。いくら医師を増やしても、医師が大都市に集中して地方の病院に勤務しない傾向や、多くの医師が東京などの整形外科医院に流れる実態が変わらない限り、地方病院における医療事故の問題は解決しません。医療費の7割が国の負担となっているのであれば、国が強制力を働かせて一定数の医師が地方に赴任するようにしたり、大都市の整形外科医院の数を制限したりといった施策を行うべきです。これは、国が決めれば済む話です」
(文=Business Journal編集部、協力=新見正則/医師、新見正則医院院長)
提供元・Business Journal
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