元横浜F・マリノスのケヴィン・マスカット監督(上海ポート)が、中国代表の次期監督候補として注目を集めているようだ。
Aリーグのメルボルン・ビクトリーやJ1横浜FMで監督として実績を積んだマスカット監督は、現在中国スーパーリーグ(CSL)の上海ポートを率い、チームをリーグと中国FAカップで優勝に導いた。中国代表は2026FIFAワールドカップアジア最終予選の第6節まで、グループCの最下位と苦戦を強いられており、監督交代の可能性が取り沙汰される中、マスカット監督のアジアでの実績が再び脚光を浴びている。
マスカット監督は、上海ポートでの2024シーズン、96得点というCSL史上最多記録を達成した。この中で中国代表のスターであるFWウー・レイが32ゴールを記録し、シーズン最多得点記録を更新。また、MFオスカルも14得点24アシストとキャリア最高の成績を残し、チーム全体が攻撃的なスタイルで頂点に立った。この成功の背景には、同監督が選手の能力を最大限に引き出し、攻撃的なスタイルをチームに浸透させた点が挙げられる。また、リーグ優勝を争った宿敵・上海申花との接戦を制したことも、評価の要因となっているようだ。
一方で、中国代表はブランコ・イヴァンコヴィッチ監督の下で低迷しており、特に若手選手の育成や起用に課題を抱えている。中国サッカー協会は国内クラブの商業名禁止や育成部門の設置義務化、日本やドイツの専門家を招くなど改革を進めているが、成果はまだ限定的だ。
もし、マスカット監督が中国代表監督に就任すれば、こうした状況に変化をもたらす可能性がある。過去にマルチェロ・リッピ監督(2016-2019)が代表チームを再建したように、アジア全体での競争力向上が期待される。今後の展開次第では、マスカット中国代表が誕生するかもしれない。