11月21日、兵庫県相生市の谷口芳紀市長が「記者会見における言動について」と題したコメントを同市の公式ウェブサイトにて発表した。11月14日に開催された記者会見において、谷口氏は斎藤元彦(現在、兵庫県知事)について「県知事として資格がないんじゃないかと」「こう思っておりますわ!」「何が悪い!」と机をバンバン叩きながら、声を荒らげて批判したのだ。

その言動に「パワハラだ!」などと多数の非難が寄せられたので「今後、このようなことがないよう、十分注意してまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」と前掲のコメントで反省の念を公表したのである。

確かに谷口市長の記者会見における先の言動は品の良いものではないと言えよう。しかし「パワハラだ!」と大炎上するほどのことだろうか?筆者には、谷口氏の言動が「パワハラ」にはどうしても思えないのだ。

筆者は相生市出身だがら、相生市長を擁護する訳ではないし、パワハラには断固として反対し、これを嫌悪するものである。

パワハラとは「職場での地位や優位性を利用しておこなわれる」「業務適正の範囲を超えている場合に限り成立する」「一回のみの行為ではなく、継続的な行為であることが多い傾向」などの定義がある(梅澤康二 弁護士「パワハラとは|3つの定義・6つの行為類型と具体的な対処法」『ベンナビ労働問題』2024年8月14日)。

筆者が思うに、谷口氏の前述の言動はそれらの定義に当てはまらない。兵庫県知事選に立候補していた稲村和美氏を支援する有志の市長らが行った記者会見中に谷口市長の「机バンバン」は行われており、それは演説中の身振り手振りのようなものだったと思われる。谷口氏本人も「政治をやっているものは、選挙をやっていると気合いが入る。それで叩いてしまったのではないか」と語っている。

また市の担当者も「普段は(激昂するようなことは)一切ないんです」「私どももそう感じておりますし、他の職員もそう感じていると思います」と述べている(「お叱りは200件、相生市が明かす大炎上した机叩き動画への反応…普段の市長は”温厚な人柄”と担当者も困惑」『女性自身』11月19日)。