自民党、公明党と国民民主党の間で協議が続いてきた「103万円の壁(いわゆる年収の壁の一つ)」の合意が成立し、総合経済対策に書き込まれることとなりました。総選挙で少数与党となり厳しい状況が続く石破政権ですが、補正予算の成立が見えてきました。まずは一歩前進です。
財源は各党の税制調査会の間で協議が進められることになります。働き手の確保や手取りの増加は法人税、所得税、消費税の税収アップにつながりますので、財務省の推計は過剰だと思いますが、それでも数兆円規模で財源が必要になることは間違いありません。年内の限られた時間の中で財源を確保できるか予断を許しません。
今期から自民党政調会長代理として政調役員会に出席することになりました。最初の役員会で小野寺政調会長から「これからはあらゆる政策について野党の理解を得る必要がある」との認識が示されました。予算はもちろん、すべての法案において政府与党は野党の理解なくして国会を通すことはできません。
キャスティングボートを握る国民民主党は「与党には加わらず、個別の政策実現を目指す」というスタンスです。先の総選挙の結果と政治改革の状況を考えると、野党ながら政策を実現できるという立場が望ましいということなのでしょう。
思い起こされるのは、2009年に政権交代を実現した民主党の記憶です。民主党は2009年の総選挙のマニフェストに子ども手当、高速道路の無償化、ガソリンの暫定税率廃止、農家の個別所得補償など財政負担が大きい政策を並べましたが、政権獲得後多くの政策が実現できませんでした。財源不足は民主党政権の最初の躓きだったのです。
国会で法案の一部を修正する、あるいは財源に大きな問題のない予算を実現するということであれば、野党のままで良いと思います。しかし、国家の基本にかかわる政策を実現する、あるいは予算全体に影響を及ぼすということであれば、「財源の確保は与党と政府で」というのではなく、いずれかの段階で与党に加わり、責任をもって政策を実現すべきではないかと私は思います。国民民主党にはそれだけの人材がそろっています。